GET SHERLOCK

BBC「シャーロック」とCBS「エレメンタリー」のマイクロフトの周辺について

暦のうえではスプリング

寒いけど陽射しが明るくなってきました。

やってしまいました、『セリーナ 炎の女』とやらで来週から日本公開らしいです。ネタバレかもしれないのでごめんなさい。もう4年も前の映画だし劇場公開スルーのディスク発売かと思っていました。ディスクも出ないもんだと思い込んで昨年輸入版で見たのですが、その時の感想も数ヶ月前からなかなか仕上げられずに置いていました。きっとハリウッドのあの事件の余波でジェニファー・ローレンス作品発掘かなとかいう気もします。彼女は美しいし、ヨーロッパのどこか山の中で撮影したそうで、結構大変やっただろうなという気はします。

『パイレーツロック』 未公開シーン(ほんまはディスクで見て欲しいけど)
Abbey Road フィリップもかっこいいね(T T)


春先になるとなんとなく聴く曲。
ぼっちな内容だけどもうすぐポジティブになるよ。
Bruno Mars Talking To The Moon



関連記事
スポンサーサイト

Rhys filmarathon 『Serena』

『Serena』(2015)アメリカ

今回はわりと新しいリス・エヴァンス出演作品で、2018年4月に日本版ディスクが出るそうですが出ないと思っていたので輸入版を買っちゃいました。ジェニファー・ローレンス、ブラッドリー・クーパーという、私でも名前を知っているとても有名な俳優主演作品です。IMDbではジェニファー・ローレンスは彼女の世代で最も高額なギャラの女優と書かれていたのですが、昨年ハリウッドのセクハラ事件で声を上げた彼女はとても勇敢。同様に声を上げていたリース・ウィザースプーンはこれまで取り上げたリスさんマラソン作品に『リトル・ニッキー』、『悪女』があります。いっぽう、わりと好きな作品だった『シッピング・ニュース』、プロデューサーもあの人だし主演もあの人だし、ダメじゃんと思いました。

『Serena』はUS版BDで英語字幕頼りに見ました。馬に乗っている時代のアメリカのロマンス、ヒューマンドラマという予想です。リスさんはヒロインを愛していてただずっと助ける役とどこかで読んだので、なんとなくヒロインのお父さんの元で働いていて彼女のことは娘時代から知っている忠義者(古いな、古い時代の話だから言葉も古くなります)というような想像をしていました。

半ばまでネタバレします。例によって細かいところがわかっていないということをご了承ください。

まず時代が開拓時代と思っていたら、1929年でした。ジョージ・ペンバートン(ブラッドリー・クーパー 30代)はカロライナの山奥で共同経営者のブキャナン(『裏切りのサーカス』でパーシー・アレリン役の人、40過ぎ)と木材業を営んでいる。オープニングの山は東山魁夷の絵のような実写でとてもきれいです。ジョージは豹を仕留めたいと願っていて、自分の木場で働く狩りの案内人のギャロウェイ(リス・エヴァンス 40代後半)と豹狩りをしているところから始まります。

ジョージの実家はボストンで、資本家として山奥に来て木材の切り出しをしています。線路をひいて運搬用のトロッコが走ったり教会があったりと小さな町ができていますが「キャンプ」と呼んでいます。木がなくなったらそこはたたんで別の場所に行くのでしょう。ジョージが山の実務、ブキャナンがお金関係のことを担当しているようです。1929年といえば世界恐慌の年、株の暴落は起きた後のようで、二人は資金繰りと地元住民による環境破壊反対運動の二つの問題を抱えています。

ジョージは銀行と話をするためボストンに戻り、上流社会の乗馬会のようなものに妹と行きます。妹がお金が大変なら金持ちの娘と結婚したほうがいいとアドバイスしている矢先に、乗馬しているセリーナ・ショウ(ジェニファー・ローレンス 20代前半)と出会います。セリーナの父親も木材業を営んでおり、彼女も山奥のキャンプで育ったのですが12歳の時火事で弟二人を亡くし(後の方に出てくる説明ではその時大人がいなかったらしい)ひとり救出された時は幽霊のようにさまよっていた、死の影がつきまとうのでいくら美貌の女性でもやめたほうがいいと妹は忠告します。この時すでに彼女の父親は亡くなっていたようです。

二人は結婚して一緒に山に帰ります。山には女性が少なく、セリーナは金髪の短髪をきれいに巻いた山の中では見たこともない洗練された美しい女性です。しかも都会的な外見とは裏腹に、木場育ちなので山の仕事にも詳しく斧も使え乗馬もうまくて男前で、労働者たちの尊敬を勝ち取ります。まあ、そんなわけでリスさん演じるギャロウェイさんも一目惚れしてしまうんですね~。彼女はギャロウェイに話しかけ、彼の手の甲の入墨を見て前科者であることに気がつきます。何をやったのかと聞かれて「Man slaughter(殺戮)」と答えています。セリーナはギャロウェイは寡黙で人を寄せ付けない男だと思います。周りの人が、彼は100マイル四方で一番の狩りの案内人で、神様から特別な目(vision)を授かったのだと教えます。

実はジョージは食事係の娘を妊娠させていて、セリーナは二人の関係を察してしまうのですが過去のことは存在しないと強気発言。共同経営者のブキャナンもセリーナに反発、どうやらジョージのことが好きで嫉妬しているらしい。

地元住民の反対運動の指導者に保安官(トビー・ジョーンズ 『裏切りのサーカス』トビー・エスタヘイス役)がいて、ハゲ山になって砂漠化する前に国立公園にしようとしています。資本家は木を切り尽くしたら街の人は捨てて別の山に移動するのですから。ジョージたちは資金繰りが苦しい中、反対派の提示する金額に折り合いがつきません。ジョージはブラジルの原生林を持っていて、そのうち移住するのがセリーナとの夢ですが、このままではその山も売ることになりそうです。ある時ブキャナンがとある上院議員に賄賂を贈っているのを保安官に見つかります。保安官は贈収賄罪だ、ペンバートン夫妻が知ったらきっと嫌うだろうしブキャナンだけでなくジョージも同罪で訴えることができると言います。

ジョージもブキャナンも間にセリーナが入ったことにより、運命が狂っていく。
ファム・ファタールものらしい。後半はサスペンスな展開で現代物みたいです。

ギャロウェイさんはある時山で大怪我をし、セリーナの素早い処置で救われます。その事件のせいでセリーナに不幸が起きおかしくなっていきジョージの気持ちは離れていく。ギャロウェイは助かって戻ってきた夜セリーナに会いにきます。ジョージが休んでいるからと彼女に会わせなかったので、ジョージにこんなことを言います。「自分を産んだとき母親はこんなビジョンを見た、わたしが多くを失う時(直訳ですが、死にかけた時という意味?予言だからざっくりした言い方?)一人の女が命を救う、という予言をした、と。奥様はその女性で、名誉ある絆(honor-bound)で結ばれたのだ」と。ギャロウェイ自身も、狩りの獲物を見つけるビジョンを持つと言われる人です。そしてヒロインを助けるってそういう助けかたかと思いました。毎度テキトウな予想をしてかけ離れていればいるほど楽しめます。

リスさん、『アメイジング・スパイダーマン』のコナーズ博士、『ネヴァーランド』のフック船長に続きまたしても片手になってしまう。でもセリーナの手先になるには片手では難しいのではという気がしました。今回はブラウンのウィッグとヒゲとロングブーツが似合っていました。『ノッティングヒルの恋人』の頃のインタビューで歯の提案をしたことを読みましたが、今も歯にはこだわりがあるのか下層の人間役で汚い歯にしてありました。でもそれほど粗暴なタイプに見えず線が細く、もっと狂っていくのが見たかったです。でも一番のシーンはカットされていたのでもったいない!ギャロウェイのキャラがぼやけた印象でした。本編で、木の切り出しは危険で死にかけたりガラガラ蛇に何人もやられたことなどが出てきますが、本当は死ぬシーンがもっとたくさん撮影されていたのにカットされ毒気が抜かれていたようです。本編の感想は、美しい自然、美しいヒロイン、クラシックカーや20年代ファッションなど絵的にはいいのに、ふーんという感じでした。

メイキングの脚本家のインタビューによると原作のある話だそうです。ジョージも東海岸の坊ちゃんなのに山の中の仕事が好きなところがおもしろいし、ギャロウェイが一番おもしろいキャラクターだと言っています。ヒロインに対して「dark loyality (負の忠誠心、かな)」を抱いているそうです。リスさんはインタビューで「豹は手に入れたいけどコントロールできないもののメタファー」と話していました。ギャロウェイさんは特別な目を持っていると言われているけれど、才能というより豹に魅せられ熱意で山に入り足跡を探す、ガイドの時自分では狩らないけど獲物を切り分けたりはする人…だと思います。人のことも冷静に観察していて情報通でman slaughterです。狩りに対しても人間社会に対しても同じ。

小道具の冷蔵庫が山の中なのにと不思議でした。電気は来てなさそうで、寒そうな山の中なので天然の氷を貯蔵して使っているとか?建物は簡素ですが、家具はそれなりのものが入れてあります。当時の恐慌のことをネットで読むと、冷凍保存技術が発達したので南米からの安い食糧がヨーロッパに輸出されるようになったことも一因と書かれていたので、冷蔵庫を出したのかなと思いました。現代はコントロールされている錯覚の中で生きていますが、自然にしても医療にしても完全にコントロールできるものではないと忘れがちなので、たまにはこういう時代の話を見るのもいいなと思いました。

キャストは『裏切りのサーカス』からの二人や、リスさん主演の『もうひとりのシェイクスピア』でエセックス伯だった人がジョージの元恋人を慕う男性役で出ていたりと、ブリットアクターズが活躍していました。こちらも女性監督によるもの。アメリカ英語ですが、少し省略していたりくぐもった発音だったりと朴訥な感じなのでしょうか?字幕がないとさっぱりわかりませんが、今の英語と違うんだなと思いました。

映画まとめ見感想

1月ももう残りわずか。

今回は
『キングスマン ゴールデンサークル』
『モネ・ゲーム』
『ガール・オン・ザ・トレイン』
『ノー・エスケープ』
『フェンス』
『20th センチュリー・ウーマン』
『プランケット&マクレーン』
『アダプテーション』

『キングスマン ゴールデンサークル』(2017)
友人が元気の出る映画に誘ってくれ見ました。前作を見たときに続編も見る約束をしていました。おもしろかった、今のネタが満載で。ツヨシさんは次回再生するのでしょうか… それほどファンではありませんが、あの世界観なら不可能じゃない気がする。ポピーズランドも、あのお方、サーも笑いました。ちらっとだけ『Captain Fantastic』(『はじまりへの旅』の原題)という看板がダイナーの近くに見えました。組織単位で見ると本家と分家の争いみたいに思えたし、ステイツマンに女性エージェント誕生も時流っぽい(今更でもある)です。

『モネ・ゲーム』(2012)
公開記念かBSで『モネ・ゲーム』をやっていました。こちらはコーエン兄弟なのにもうひとつと思ってしまった。美術鑑定家というまるっきり文科系男子のコリン・ファースが窓の外を伝い歩きしズボン落とす(pantsという呼び方のUK、US混乱も含め)事件で引っ張りすぎな気がしたので。アラン・リックマンのヌーディストの方がしれっとしていておもしろかった。爆弾もガンファイトもできないとくれば、そっちに走らなしゃあないと思う。キャメロン・ディアスも安定感だしね。贋作詐欺のストーリーと結末はおもしろかった。コーエン兄弟のお間抜けな人たちがトラブルを連鎖していくタイプの話は好きだ。


他はディスクで見たもの。今回はアメリカ、メキシコ、イギリス映画。一番期待していたのは『20th センチュリー・ウーマン』、昨年ディスクリリース時に評判が良かったのは『ガール・オン・ザ・トレイン』。ネタバレには注意というか、簡単な紹介と感想のみです。

『ガール・オン・ザ・トレイン』(2016)
離婚した女性が元夫の家のそばを走る電車に毎日乗って再婚した夫たちを眺める、サスペンスです。サスペンスにつき詳しくは書きませんが、時系列混乱系は構えてしまうのでハードルが上がります。主人公と現実の齟齬とかはそういう仕掛けで起きるという感じ。過去はきっぱり決別したほうがいいよ。エミリー・ブラントが今回は飲んだくれで寒そうでした。「あなたの一言で自分には価値がないように思える」といセリフが来ましたね。夫婦の怖い話では『ゴーン・ガール』のほうがつくりもの臭くて楽しめました。

『ノー・エスケープ』(Desierto)(2015)
メキシコ人俳優ガエル・ガルシア君主演の越境してアメリカに密入国するメキシコ人の話。2017年のGWに公開していたけど、行けなかった。映画の作りもシンプルでずっと砂漠の中なのにおもしろく見せる。残酷描写とかはないけど怖いね。狩る側の人、何の権限もない一般人で、そこが怖いし政情とか考えさせられる。傲慢だなと思った。前述ポピーズランドと合わせて考えてみたい。ガエル君の過去作『BABEL』もメキシコとアメリカの国境を越えるエピソードがあって。それも思い出しながら見た。

『フェンス』(2016)
デンゼル・ワシントンと『殺人を無罪にする方法』で受賞した主演女優さんヴィオラ・デイヴィス主演と雑誌で読んで気になっていました。50年代の黒人の話でタイトルから公民権運動の話と勘違い。名もなき市井の夫婦と家族の話だった。主人公は50過ぎで、若くして家出して一人で生きてきた、間に戦争もあって障害を負った実弟の面倒を見ている。黒人であることの生きにくさが身にしみていてアメフト選手になりたい息子に白人のスポーツだと堅実な道を歩ませようとする。戦後の時代の変化などを交え、夫婦や親子を語ったストーリー。ほぼ彼の家で展開し、会話劇でセリフがとっても多い。演じる人は演じがいがあるだろうなあという気がした。父親は家族への責任をきちんと果たす代わりにやや横暴だ。そして威張れるほど正しい人間ではない。清濁併せ呑めとも何回か言っていたっけ。息子は父親が息苦しくて仕方がなく長年許せないのだけど、いろいろ「子どもの頃の悩み」(カズオ・イシグロさんがね、そういう言い方をインタビューでしていたので便利だと思いました)もあるけど、夫婦って大変だし、命を与えてくれて育ててくれて親ってありがたいなと思った。でも説教臭い話ではないです。

『20th センチュリー・ウーマン』(2016)
10代の頃にこういう人たちがいたら楽だったろういという一種のユートピア。60年代の話です。15歳の少年と40歳離れたシングルマザーの話で、母は息子には父親がいないので一人前の男になるよう今風に教育して欲しいと二人の下宿人と2歳年上の幼馴染の女の子に頼む。下宿人は元ヒッピーの中年の大工、もう一人はNYで写真の勉強をしていたが子宮頸がんが分かり地元に帰ってきた赤い髪をショートにした女性。デヴィッド・ボウイのファンなのだ。女二人の男ってこんな風にかっこつけて振舞うもんだという解説もおもしろい。(男は)感受性が繊細であるよりも強くあることが(男同士では)重要と女の子が言っているのが印象的。男と女の考え方の違いというのも、ステレオタイプな気がしたが、あの時代があってそれまで言えなかったこともオープンになって、その時代も忘れられているような気がした。思ったほどぐっとこなかった。

『プランケット&マクレーン』(1999)
これはかなり古めですが、ロバート・カーライル、ジョニー・リー・ミラー、リブ・タイラー主演のUK時代物。紳士だけど泥棒の二人に女性が絡んで、なんとなく西部劇のような冒険活劇的エンタメ作品かと思いましたが、とてもイギリス的でおもしろかった。時代は多分モーツアルトが人気だった頃のよう。クエーカーのオートミールの箱についているおじさんおような格好をしていました。コスチュームものながら、エキストラの数がものすごく多くて力が入っています。刑務所で出会った庶民のプランケット(ロバート・カーライル)と聖職者の息子で貧乏ジェントリーのマクレーン大尉(ジョニー・リー・ミラー)が組んで貴族相手の強盗(gentlman highway)を働く話。レベッカ(リブ・タイラー)も仲間かと思ったら、れっきとしたご令嬢で、でも拳銃の練習をしているという進歩的なヒロインでした。墓場泥棒や刑務所などの美術が興味深かったです。

『アダプテーション』(2002)
『マルコヴィッチの穴』の脚本家チャーリー・カウフマンと監督スパイク・ジョーンズのコンビなのでいつか見ようと思っていました。脚本家のチャーリー・カウフマンと双子の弟役にニコラス・ケイジ、女性ジャーナリストにメリル・ストリープ、プロデューサー役にティルダ・スウィントンと豪華なのに、持ち味のモヤモヤがもっと倍増してすっきりしない作品でした。アダプテーションは生物の適応と脚本の脚色の二つの意味があって、珍しい蘭を密猟している男の話を書いた本を脚本にするため七転八倒みたいな話。マジメで堅物の脚本家チャーリーと、脚本家志望で居候のドナルド(多分こっちが弟っぽい)は思ったように行動するマイペース人間で、マスクとシャドウというか、現実と理想みたいなコンビでおもしろかった。ドナルドは『アルジャーノン』を知らないのと、兄のチャーリーに言うところがありました。主人公が同じチャーリーだからかもしれませんが以前書いた『ヒューマン・ネイチュア』に『アルジャーノン』のパロディをとても強く感じました。

チャーリー・カウフマン作品だと、やっぱり『ヒューマン・ネイチュア』が一番好き。次が『マルコヴィッチの穴』か『エターナル・サンシャイン』か迷うところです。『ヒューマン・ネイチュア』と『エターナル・サンシャイン』は監督がミシェル・ゴンドリーさんですが、彼の作品の中では『エターナル・サンシャイン』より他のものが好きで、恋愛に突き進むのにモヤモヤしている主人公を描いた方がうまいからだと思います。脚本家ご本人的には、起承転結がはっきりしていないモヤモヤ系の方がお好きなんだろうなあと思いました。

前半の映像表現はコミカルで『ヒューマン・ネイチュア』的におもしろかったです。

Rhys filmarathon ショートフィルム

しばらく書いていなくて広告記事になってしまったので、この秋ハロウィンに公開されたショートフィルムがロングバージョンがでわりと最近上がっていたのでどうぞ。



現在は、オールドヴィクシアターで『クリスマスキャロル』舞台を上演中(11/20〜1/20)
来年はナショナルシアターにも出演、
最近発表されましたがオールドヴィクシアターで春から『ノッティングヒルの恋人』、『Jの悲劇』のロジャー・ミッチェル監督と『Mood Music』を上演するそうです。作曲家のコメディのようです。複数の人物が錯綜するラブコメディ『マイ・ファニー・レディ』のような感じかなと想像します。

Untitled

Mommy

Mommy (2014)

グザビエ・ドラン監督作品。
彼の見たい作品をまだ見ていなくて、これは『たかが世界の終わり』に次いで2本目の観賞。

架空のカナダを舞台に「S14法」という法律のある世界。どういう法律かというと、発達障害のある子どもを親が経済的、身体的、精神的に困難に陥った時の救済手段が定められています。

ネタバレには配慮します。

IMDb紹介ページ
トレーラーもついていますがネタバレに敏感な方は注意。

このブログの読者には見たいと思われる方がいらっしゃるのではないかとその方を思い浮かべながら。3年前に夫を亡くした40代のダイアン(ダイ)とADHDと愛着障害を持つ15歳の息子スティーブの話。スティーブは父親が亡くなってから荒れ出しADHDと診断されて施設に預けられていたが、問題を起こしたので、ダイアンは自宅で面倒を見ることに。そのことをきっかけにそれまで交流がなかった向かいに住む主婦カイラと親しくなる。彼女は2年前からうまくしゃべれなくなり引きこもっている。という、何かを抱えた人ばかり出てきます。そういう始まりに「S14法」というものが登場し、間をどう埋めていくかなのですが、やられました。

ADHDというものをまわりの人の目で描いている。そしてそういう障がいがあっても普段はちょっと変わった性格の子とか落ち着きのない子、TPOを気にしない子くらいにしか見えない。最初に出てくる施設の職員は「愛だけではどうにもならない」と言っていて、自分もそう思う。愛というほどでもなく、友達とか味方でいたいのに積み重なってくると難しくなる。「母の愛」には幻想や呪縛がが多分にまじっているのかもしれない。愛(献身)だけの問題ではない。これは障がいのある親子の話ですが、シチュエーションを変えたら結構ありうる話。

スティーブはダンスが上手な子の設定で、ADHDで、この役の男の子どんだけ才能豊かなんだろうって思いました。自分は演技の良し悪しがわかる方でないし、洋画にダメな人っていないと思うのですが、それでもこの子はすごいなあと思いました。ダイアンもカイラももちろん良くて、ダイアンはケバい系と息子に言われるタイプでキレイな人ですが変な表情もどんどんします。いわゆる変顔とは違いますが、ああそういう演技もあるのだなと。

演じている方たちも良かったですが、映像や演出も良かった。干してあるパンツにさえも意味が書いてあり、どうやら一方通行の愛だと。「Mommy」以外にも登場人物がつけているネックレスそれぞれに意味がありそうです。勉強中のスティーブの前に置かれた、メイプルリーフ型のクッキーにクリームを挟んだ有名なカナダのお菓子が二個置かれていますが‘leaves’っていう暗示なのねと。ワインを水で薄める=態度を和らげる、と後で言うためのシーンとか、カイラを爆笑させて「ダイ、あなたわたしを殺すつもり?」というセリフはフランス語だけど英語にすればkillとかdieとかで、ちょっと強引な感じもしたけど。英語で暗示しているのとわかるのに時間がかかります。登場人物はフランス語を話すカナダの人たちなので、ダイアンとパパは英語ができるけどスティーブは分からない。子供に聞かせたくない話をするとき親たちは英語を使うが、最後は「Shut up!」「**ck off!」と終わってしまうと言う。スティーブはわざとFワードを使う。まあティーンネイジャーだしね。そして。ママに気がある近所のやもめのおじさんとの「Count on me. (まかせとけ)」「I know. (よろしくね)」という会話が気に触るらしい(多分そこは英語で言ってんのかなと)。スティーブは受け入れられないものにとんがりまくっていて(気持ちはわかるよ)、そういうものの象徴がアメリカや英語だったりするらしい。パパはアメリカ人かもしれないし、少なくともアメリカ贔屓で、ママが困っているのになんでお前は死んでんだと。カナダのフランス語、英語という二重の言語環境もうまく使われている気がしました。

映画は「寄り」で見ているのでクライマックスの「正しいか、間違っているか」に集約していますが、現実はもっといろんな角度から見ることができる。選択することに「すべて正解はない」と言える。というかどの選択も間違いではないと思いたい。「どれを選んでもそれは進化」(びじゅチューン「保健室の太陽の塔」より)というフレーズができるまでの裏側に思いが飛びます。

前半、スティーブの何の力もなくて宙ぶらりんでどかへ行きたいのに行けないあの頃の感じを思い出しました。そのシーンで使われていた曲。

Counting Crows 『Colorblind』


そして後のほうで出てくる、スティーブの守られていると感じているシーンの曲。
Oasis『Wonderwall』 
スティーブの気持ちで、あなた(母)は僕を守る魔法の壁だ。今この瞬間にあなた(カイラ)のことを僕以上に理解する人間はいない。言いたいことをうまく言葉にできない。カイラ。彼女のワンダーウォールは夫なのだろうけど静かに守るだけで現実社会に彼女をもどしてあげる力はなさそうだ。
オアシスも映像作品でよく使われていると思うけど、出てくると好きなんだねと、ポイントが上がります。All roads read together winding.




最後はLana Del Ray『Born to die』。


お母さんの若い頃の話みたいな曲です。この曲の流れるエンディング、映画館で見ている気持ちになるのですが、You tubeを見てみるとこの曲の音奥行きがある感じですね。母親の名前のダイ、書類にDie(死)とサインしていました。「足元を見つめて、この先うまく旅を歩き続けられのか」という歌い出し。足元、カラオケ、風にはためく洗濯物、駈け出すエンディングとか、全くトーンの違う作品ですが私の好きなイギリス映画『Twin town』を連想します。『Twin town』にも脇役にダイという人物が出てきて映画で起こる死の暗示になっている。直接の関連はなさそうだけど、社会的弱者とか無力な若者の閉塞感というテーマは同じだしね。グザビエ・ドラン、カンヌで審査員賞をもらったのは25歳。20代前半でこんな話が描けるなんてすごいわ。40代の母親と同世代のカイラ側から描いてあり二人の言外の表現で物語は成り立っているので女優さんの演技力もすごいのだと思うけどね。自分が20代でこれを見ても絶対今よりわからん。kill とかdieとかやや若いなという気もするけど、『Twin town』同様何回も見てだんだん深まる映画でした。

ここのところ仕事が忙しくて、寝る前に何日かに分けて映画を見ています。
妊婦さんと黒ミサの出てくるオカルトサスペンスで有名な巨匠(アメリカに入れない人)の別の作品も見て、前に見てそこそこおもしろかったのに今見るとイマイチでした。アメリカから見たヨーロッパへの憧れを交えた雰囲気は好きです。全部揃えると悪魔が現れ望みが叶う的な話で。サイバーな昨今、悪魔がどうにかできるのだろうかとしか思えなくて。お金とか権力とか叶えてもらうのかなあ。お金は欲しいけど悪魔にもらうほど大層な額を手にしたら重圧もついてきて大変そうだし。謎を解きたい欲求はあるけど主人公にそれほど欲があるように見えないし。妊婦さんが主人公の昔のやつのほうがおもしろかったな。そんなわけで、サイバーテロリストの『Mr. ROBOT』的な話のほうに現実味が感じられ時代は変わったと思ってしまう。生き残っている作品だけど、見ても見なくてもいいなと。

そんなわけで『Mommy』よかったです。

映画まとめ見感想

更新するのが久しぶり過ぎて、どうしていいかわからない感じです。
最近映画を見ていなかったので、新し目をまとめ見です。一応ネタバレには配慮しています。

『ゴッホ 最期の手紙』
その労力に圧倒されました。ディスクでゆっくり見直したい。時間があればもう一度見に行きたい… アニメ大国クール日本(いまだにしっくりこないぞ私は)もこういうアイディアのアニメを作ればいいのにと思ったけど、165人の画家の参加じゃあ企画から無理そう。ひとつ言うならば、ヴィンセントという名前は、死産(だったような、赤ん坊の時に亡くなった?)兄の名前をその後生まれたゴッホにもつけられたことが親の期待に添えない自分と自己肯定感の薄さの理由にもなっていましたが、本によると「ヴィンセント」も弟の名前の「テオドルス」も昔から一族につけていた名前で身内にたくさんいたそうで。どちらにしても生きていてごめんなさい系の人なのだけど。親が亡くなった兄を想って愛情をあまりかけてもらえなかったというのは分かりやすい説明ではある。まあ、長男につける名前とかいろいろあるのでしょうね。作品をつなぎ合わせ、彼の見たものや人生を浮かび上がらせたのがおもしろかった。シアーシャ・ローナンはせっかくだから、主人公並みにもう少し映像に寄せた絵にして欲しかったな。クリス・オダウドはかろうじてわかりましたが脇役なのでこれくらい「絵寄り」でOK。

こっちはディスクで見たものです。

『私はダニエル・ブレイク』(イギリス)
『たかが世界の終わり』(フランス、カナダ)
『雨の日は君に会えない、晴れの日は君を思う』(アメリカ)
『はじまりへの旅』(アメリカ)

『私はダニエル・ブレイク』(イギリス)
社会派のケン・ローチ監督の作品です。イギリスで政府の福祉切り捨て方針が進んでいることへ抗議しているという予告で見たいと思い、いい映画に違いないけど見るときを選ぶだろうと思いました。ケン・ローチさんは、はるか昔に『レイニング・ストーンズ』という短編でものすごくへこんだ忘れられない方です。まだ学生だったので、大人の辛さとかわかっていない分へこんだのですが、タイトルは石が雨のように降ってくるという意味で、ものすごく不況だった頃のイギリスで娘の堅信礼の白いドレスが買えないので盗みをする若い夫婦の話でした。

今回の『私はダニエル・ブレイク』は60過ぎの男ダニエル・ブレイクが心臓病で医者から働くことを止められているのに審査官に働けると判断されてしまい生活保護を打ち切られ、偶然出会った子連れのホームレスのシングルマザーと助け合う。ストーリーは予告で思っていたのとちょい違うな(記憶があやしいので仕方がない)と思いながら見ました。ダニエルは40年間大工をしていて、妻を亡くなるまで介護していた。子どもはいない。心臓病なので医者から働いてはいけないと言われている。携帯電話は持っているがスマホはなくパソコンも使えない。生活保護受給資格再審査申請やその間の失業手当申請はネットの申請用紙でやらなければならないとかお役所のたらい回し、矛盾してしち面倒臭い手続き、苛立って声を荒げたり皮肉を言って審査官に悪印象を持たれる、警備員につまみ出される主人公の様子が描かれる。それでも図書館に予約をしてネットを使いに行き、隣の若者に操作を教えてもらったりしながら取り組む。健康上、働けないのに職探しをしないと失業保険が下りないので職探しをする。

一方のシングルマザーは18の時子どもを産んだ若い母親で、子どもは二人いる(上の子は小学生)が、雨漏りで子どもが病気になり大家に修理を頼むと逆にアパートを追い出され、2年間ホームレスのシェルターで暮らしていたが窮屈な暮らしに子どもが耐えられなくなり申請してやっと入れてもらったのはロンドンとも母親とも離れたニューカッスルのアパート。福祉事務所で二人は出会い、ダニエルは自分も余裕がないながらもこの家族を助ける。父と娘、祖父と孫のような絆が生まれる。

自分が歳をとった分、出てくるエピソードや設定にうなづけます。ダニエルがとてもキャリアのある手先の器用な大工なのに、年齢のせいだけでなく時代の変化で鉄筋コンクリートの建物ばかりで新しく仕事に就くのが難しい。生活保護受給の審査官も経費削減でアメリカの民間会社の人間で医療知識が乏しい。ダニエルの隣人の若い黒人男性はバッタモノのスニーカーを中国からネットで仕入れてこっそり売っている。いつもダニエルにゴミ出しで怒られているのに、助けてくれたり。シングルマザーの上の子は黒人の血が混ざっているのがわかるので、映画には出てこない助けない父親も隣人のような特に良くも悪くもない普通の若者なんだろうなという気がする。子どもたちもすごくいい子たちで。

フードバンク、配給券、なんとか手当てとか寝室税とか聞きなれない言葉がたくさん出てきます。ヴィクトリア朝は窓税(大きなお屋敷には窓がたくさんあるから)だったらしいですけどね、寝室税なんだそりゃって、もっと金持ちから取れよって(累進制なんだろうけど免除対象が少なそう)思いました。ダニエルがシングルマザーに会った日に渡してあげていた現金が20ポンド、純正スニーカーの値段が120ポンド、ダニエルの電気代の請求が400ポンド弱(大まかに1ポンド150円換算で日本の感覚からすると高い! パソコンとか今の家電がないアパートなのに…寒いから暖房にかかるのかなあ、よくわかりません)、そして家具を売り払ったお金が200ポンド。普通の映画なら、ダニエルはパソコンを使えるようになり、木工の腕を生かして家具を作ってネット販売をする(隣人も手伝ってあげる)、シングルマザー一家も身を寄せみんなめでたしみたいな話になるのかもしれません。

ダニエルは権力のある人にへつらわないが困っている人には手を差し伸べる、と自分のことを書いていました。ほとほと困っているのに不満を口にしてはいけないような風潮、イギリスさえもそうなんだなと。これは私の誤った理想化まじりだけどイギリスの人はよく役人とかに抗議しているイメージ。ダニエルはそういう古い世代で、今のお役人は抗議されることや言い合うことに慣れていない感じ。ダニエルが福祉事務所の外で抗議していた様子に、通行人が喝采し上着を着せてくれ、多分SNSにも広まったのでしょう、そこでスカッとしたのでそれほどへこみませんでした。病気だから働けない、子どもがいるから職が見つからない、仕事の口が少ないから働きたくても働けない、クビになりたくないから助けたくても助けられない、逃げ場のない人につけ込む、どこの国も同じようなもので。Live and let live, 相互扶助の優しさをお互い持たないといけないと真っ直ぐにいい映画だと思いました。この作品、BBCで作っている。ブリグジット背景の自国のことで手いっぱいアピールとは思いたくない。BBCも頑張ってください。

『たかが世界の終わり』
注目のグザビエ・ドランということで気になっていた映画。12年ぶりに帰省した次男を迎える家族の1日の話です。次男は家出して今は舞台脚本家として有名になっている。登場するのは母親、長男、長男の嫁、年の離れた妹と主人公の次男だけで、話のほとんどが家で展開、家出の理由がだんだん明かされ、本当のことを知っていたのは誰かと。でもミステリーではありません。短編小説という感じで家族とアムールだけで一本なのもフランス語圏らしい。キャストが豪華で次男がギャスパー・ウリエル君、今も甘い。長男役のヴァンサン・カッセル、この人がストーリーを引張っている。年の離れた妹がレア・セドゥ。そこを出て行きたいのに出ていけない長男と妹の気持ちで見ました。

『雨の日は君に会えない、晴れの日は君を思う』
妻を交通事故で亡くした男の話です。男は30くらいで、逆玉、妻の父親の投資会社で頑張っていたが突然の妻の死のショックで調子を崩す。自分ではコネ入社と言っていたけど、きっとプレッシャーもあって仕事が出来る男として頑張っていたようで、妻より仕事になっていたことを深く後悔。偶然知り合ったシングルマザーとその息子、義父との関わりなどを通して日常を解体、回復するまでの話。
起承転結はしっかりしていてそれなりにおもしろかったけど、あまり好みではなかった。他人事としてみてみたい絵ではあるけれど、物に当たるのは好きではないので。邦題(劇中には登場する)がメロウなドラマを予想させるけど、原題は『Demoliton(解体)』、こっちの方がしっくりくるし男性が見た方が良さそう。

『はじまりへの旅』
変わり者の父親に森で育てられた子どもたちが初めて街へ行く。原題は『Captain Fantastic』。
その手の話は好きだと思ったのですが、ちょこちょこ引っかかってしまった。

子ども達(6人くらいいる)は学校に通わず、資本主義社会否定の父親が先生になって勉強とサバイバル術や生きる知恵を教えている。チョムスキーやドストエフスキー、文学や物理学や政治の本をたくさん読み、並の子どもよりずっと賢い。母親のことをきっかけに外の世界と関わり、いとこや叔父叔母、祖父母と会い、自分たちのズレを知っていく。やや独善的な父親と描きたかったのかもしれないが、ずれていてズケズケものを言って周りを不快にさせるのはよしとして、こんなに賢いのに、守りが甘いというか… ドラマの展開上仕方ないかもしれないけど、アホな私でもそうしたら家族が壊れてあかんやろと思ってしまうことが所々、あまりお父さんのキャラへの愛が感じられない気がしました。ヒッピーっぽさと現代が入り混じっていて、もしかすると原作は60年代か70年代なのかもしれない。物語の時代設定も10年、20年くらい前かもしれない。資本主義社会に反対なのはまだわかるが毛沢東がどうのはさすがに時代錯誤すぎるんじゃね、どうして更新しないのだろうと、大人の事情?現代生活はサバイバル知識が足りなさすぎるけどそれもまた別の話で、映画に出てくる都会も地球上のごく一部に過ぎない。このお父さんは子どもたちが巣立つことを考えていないんだなと。良くも悪くも親の考えって相当受け継いでしまうので、子どもに選択肢を残すことも大事と思う。

長男は好きな音楽はバッハだったが、クライマックスはガンズ&ローゼズの「Sweet Child O’mine」(1988)。好きな曲なのでいいんだけど。のちに女性シンガーのシェリル・クロウがカバーしていた。原曲はラブソング(でも続かなさそうな二人に感じられるしそいうトーンだから惹かれる)で、「彼女の笑顔を見つめていると子どもの頃を思い出す、そこではすべてが輝く青空のようにすがすがしかった、彼女の顔は僕を特別なところへ連れて行ってくれるがそこに長くいるときっと崩れ落ちて泣きそうになる、彼女は瞳は空のように青いけどいったん曇ると痛みを思い出させる、彼女の髪は子どもの頃に避難したあたたかくて安全な場所を思い出す、そこで早く嵐や雷が去ってくれればいいと祈った」というような詞で、歌っている人のことも連想して、今この瞬間は甘いけど歌われている子ども時代は楽しそうと感じられなかった。歌の中のchildは恋人のことだが、小さい時の母親の暖かさと辛い思い出両方を重ねているよう。どうしてこんな曲を母は歌ったのだろうという気もした(多分教えたのは父親ではないだろう)けど、この映画の母の二面性とも解釈もできるのかなと思った。

期待度の順番は、
『私はダニエル・ブレイク』
『たかが世界の終わり』
『はじまりへの旅』
『雨の日は君に会えない、晴れの日は君を思う』

見終わってからは
『私はダニエル・ブレイク』が1番よかった。
『たかが世界の終わり』(そういう話。)
『雨の日は君に会えない、晴れの日は君を思う』
『はじまりへの旅』が一番最後。


『たかが世界の終わり』、『雨の日は君に会えない、晴れの日は君を思う』は、そういうテーマというかエピソードが入っていて最近多いなあと思うし、大都会じゃないとまだ市民権を得ていないのかとも思う。自分が学生の頃もう結構オープンな感じだと思っていたのにそうでもないんだなあとか。『たかが世界の終わり』はそういう人なのでか「同じ毎日が続いていくだけだ」というセリフが印象的でした。「make a difference」(何かを生み出すとか、何かを成し遂げるとか)じゃないといかんのかのう。

Rock, comic, novels, and miles of films(7) Marvericks

変人、はみ出し者のでてくる話が好きです。

このコーナーは、映像以外の作品と合わせて感想を書くというものです。
今回はヤマザキマリさんのマンガ『Steve Jobs』最終巻が少し前に出た時に書きかけでストップしていましたが、関連をまとめてみました。

『Steve Jobs』(2015)

ジョブズの映画はこれまでにも何本か作られていますが、こちらはダニー・ボイル監督、マイケル・ファスペンダー主演のも。

他のジョブズ映画は見ていませんが、おもしろかったです。伝記本、ヤマザキマリさんのマンガ、TV番組など見ていたので大体はわかります。4幕構成で、ジョブズと娘リサの関係、アップルの人々との関係を絞った構成で描いています。ジョブズ劇場。この方法のいいところはドラマを凝縮できるところ、ややこしい機械をたくさん出さなくて済むところ。

ジョブズを指揮者に例えています。

映画のジョブズを見ていると自分の嫌なところを思い出し、ただの一般人の自分はジョブズのような頑固でわがままな人よりも相棒のウォズみたいな人に憧れます。本当のところ彼のような人は在り難い人なのだと思う。

メイキングでダニー・ボイルは監督という仕事はジョブズのようなもので、時に脅したり操ったりすると。スタッフは従順じゃなくてもいい。(自発的に)新しいことにチャレンジして欲しいと話していました。常に新しいものを望まれるのは厳しいけれど、モチベーションは上がるしやりがいもある。

映画には39回サメの写真を直させられたエピソードが出てきて、言葉でイメージを伝えるのが下手なのかと思いました。多分違うと思いますが、本やマンガではただ「こだわりが凄いからだ」となっていますが、客観性も映画のいいところです。ダニー・ボイル監督は主観的に書いてると言ってましたけどね。

映画のジョブズは、とにかく未来を見る人だったのだと思いました。ウォズがアップルを支えた「Apple Ⅱ」のスタッフに謝辞を言うことに昔からこだわってきて、それも人と人がうまくやっていくのに大事なことなのですが、ジョブズは一度の成功に甘んじ、その後新しいものを生みださない原因になった「Apple Ⅱ」は過去のもので過去のものを讃える必要はないという考えも一貫している。ウォズだけでもジョブズだけでもダメなのだろう。『イミテーションゲーム 天才数学者とエニグマの秘密』のアラン・チューリングも同僚に嫌われていたのですが、仲間の女性の助言を聞き入れ壁を取り除くためにりんご配っていたシーンを思い出しました。ジョブズの中でも、一般的に知られていないコンピュータの父チューリングの写真を使いたいというシーンがあるのですが、あの映画があって、私でもチューリングのお顔を覚えました。

メインテーマで描かれた娘との関係も、この映画では自分が自分を父親として認知できないのだと言っているようでした。でも娘が最初のマッキントッシュで絵を描いた瞬間に自分の娘かどうか関係なく子ども=未来と思ってしまったのだろうな。

1998年の時に出てきたSONYのウォークマンが、誇張しすぎに大きかった(笑)。話の流れとしてはわかりやすいんですけどね。もっと前から私たちもっと小さいものを使っていました。事情があって娘は学費に困っていたのと、父とのつながりを感じたくてか、ものすごく古いものを使い続けていたのかもしれません。

ここから始まった何かに良くも悪くも大きく巻き込まれている。
Macができて今の仕事ができている。



『Steve Jobs』(全6巻) ヤマザキマリ

機械を描くのが大変と書かれていましたが、資料を集めないといけないから大変。そして時代の空気を知っていないとダメだろうなという気がします。

マンガと本では娘をジョブズが認知しなかった理由がピンときていなかったのですが、映画のフィードバックで理解が深まりました。

ヤマザキさんの作品では、ウォズのお父さんが優秀なアメフトの選手だったこととエンジニアだったことが描かれています。ウォズ自身は高校ではみだして得意の機械いじりでいたずらをしかけ少年院に入れられるというエピソードもあるくらいの人なので、チームプレーはお父さんの影響というのは短絡かもしれませんが成果を「シェアする」という初期のコンピュータ畑の人のスピリットを大切にしています。

一度Appleを追放されてしまったジョブズですが、学生時代『リア王』を読んでいるエピソードが出てきます。

映画と違って、iPodは大好きなボブ・ディランの全曲をコンパクトにそばに置いておきたかった執念の産物という描き方でした。最初のiMacが完成したあたりは泣けますね…。功罪両方を普段考えている自分ですが。ジョブズは死の少し前に伝記を依頼していた経緯が描かれていて、ジョブズ、死後の神格化の演出まで考えていたんだなあと思ってしまった。




『87 Clockers』(全9巻)二ノ宮知子

これはこれで全く単独で読んでいたのですが、パソコン関連のお話。
「オーバークロック」とはパソコンの動作スピードを競う競技で、これまでわりと周りにパソコンを開けて修理するのが好きな人がいたのでおもしろかった。ビデオカードとかCPUとか門前の小僧にはわりと馴染みのある言葉で。ちょっとマニアックな世界ですが、パソコンのことを理解しなくても変人っぷりを楽しめばそれでいいと思います。いっけん無駄なことも夢中になっやっていいんだと自分を納得させられる、パワーをもらえる作品です。

仕事中に急いでいるのにMacが働きすぎで動いてくれない時、自分もオーバークロッカーのようにオニになっているなあと心の中で自重。

パソコンの敵は熱。
そのため競技に使うパソコンはむき出しの状態のものも出てきますが、ヤマザキマリさんのマンガの中のウォズとジョブズがガレージ時代に作っていた初期のコンピュータと同じ形なのがおおと思ったポイントです。



『MR. ROBOT』(2015)

前から気になっていたアメリカのドラマ。
ハッカー集団の話です。コンピュータ社会の功罪の’罪’の方を描いています。MacのCMがジョージ・オーウェル「1984年」のディストピア破壊だったはずなのになと。

10話なのでけっこうタイトで自分的にはちょうどいい長さでした。おおざぱっに言うと『SHERLOCK』と『The Amazing Spiderman』、『Simple Simon』、『The fifth estate』、『SNOWDEN』あたりの感じ。

主人公エリオットはNYのコンピューターセキュリティ会社に勤務する人嫌いのコンピューターギークの青年。悪魔コープ社(Evel corp)の出した有害物質が原因で父親を幼い時に白血病で亡くし、労災が立証されないまま。同僚で幼なじみのアンジェラ(天使ちゃん)の母も公害で同様に亡くなっていた。二人の勤務するコンピューターセキュリティ会社オールセーフ社は巨大コングロマリット・悪魔コープ社をメインクライアントとしていた。

エリオットは、触られるのが嫌いでイレギュラーが嫌いでいつも同じ服装をしている。いつも驚いて目を見張っている感じに目の大きい俳優さんが演じていて、アスペルガーの青年が主人公のスウェーデン映画『Simple Simon』のシモン(最近話題のスカルスガルドくん)を連想するなと思っていたら、悪魔コープ社の若年暫定CTOのタイレル(『ブレード・ランナー』リスペクトだね〜)をシモンの兄役の俳優マルティン・ヴァルストロムが演じていました。端正な顔立ちで壊れた人役がうまい。エリオットは子どもの頃、父に詫びてハグしたら突き飛ばされたことがあったそうで、父ももしかしたらアスペルガーなのかもしれません。ハッカーの1人がクリスチャン・スレーターで役柄は予想通りでした。

最初エリオットは、ひとりでこっそり身近な人の情報をハッキングして守っている。
カウンセラーの女性が素性を隠した既婚の浮気男とつきあっているのでこっそり相手を脅したり、犯罪者を脅したり匿名告発したりをちょこちょこしている。そういう他人の秘密が見えてしまい薬物依存もあるところはシャーロック、小さな人助けは最初の頃のスパイダーマンのピーター・パーカー君、「悪魔コープ社」というのがスパイダーマンのオズコープ社を連想しました。エリオットは黒いパーカーのフードを被っていることが多いですが、『The Amazing Spiderman』でもピーターがそうしているのがありました。EvelのEがロゴマークとして使われていますが、Eメール、Eコマース、EマネーなどのEが全て悪みたいに思わせます。なんとなくサイバー版スパーイダーマンみたいな印象でした。

世界観は暗いです。極端な金持ちと学位を得るために多額の学生ローンを抱える若者や移民、スティーブ・ジョブズは低賃金の外国で搾取して生産したものでもうけたのに崇め過ぎという批判、お代はSNSの「いいね」20個でと自作CDを配る路上ミュージシャンとか(ただの味付けの人ですが)、巨大企業と無力な個人の戦いとか、そんな感じです。

世直し、革命を起こそうとするハッカー集団が出てきます。ウィキリークスの『The fifth estate』、元CIAの内部告発を扱った『SNOWDEN』。WEB上に溢れたありとあらゆる情報、もしそれをなくしたら。債務が消える、インフラもストップする。それで世界は変えられるのか。リーマン・ショックや、デフォルト危機なども連想させ、現実にくすぶる不満を描いています。

MR. ROBOTはSTYXの「ドモアリガット、ミスターロボット」というヒット曲を連想します。
そしてエピローグは、ハープを弾く女性のいる高級店のシーンでローマ帝国のネロのくだり。『もうひとりのシェイクスピア』(原題はANONYMOUS=アノニマス=匿名)では破産寸前のオックスフォード伯エドワードはローマ帝国の崩壊の時もネロはハープを弾いているだけで何もしなかったと言っていました。おもしろいのはおもしろいけど、ちょっとつらい世界でした。S2に続きます。



Always look on the bright side of life.
(いつも人生のいい面を見るようにしよう)
モンティ・パイソン

なんでか、この言葉を思い出しました。

Rhys Filmarathon / Talented little liars (才能あふれる嘘つき)

『ジャニスのOL日記』(原題 Janice Beard 45wpm  1999)

JBmovie-_s.gif


今回かなり古いショートフィルムです。
ジャニス・ベアードという女の子が主人公です。リス・エヴァンスは主人公の相手役らしくDVDジャケットが楽しそうで、めったにないリスさん若い頃のラブコメっぽいので、できたら見たいと思っていましたが日本版DVDがなく、UK版で見ました。
UK版、せめて英語字幕くらいあるだろうと思ったら、ない。英語だからまあなんとかわかるだろうと思ったら甘かった。ジャニスがスコットランドなまりで、リスさんもウェールズなまりなのかゴニョゴニョ言っていることが多い。どちらも地方出身者の設定なのだろう。

ベアードは「あごひげ」の意味なので、予想では男勝りの仕事人間のジャニスが、郵便室で働く青年(そこは知っていた)に恋して、青年も燻らせていた才能を認められて会社で昇進するめでたしめでたし的な話だと思っていました。パッツィー・ケンジット(エイスワンダーのヴォーカルだった、女優、元OASISのリアム・ギャラガーの奥さん)も写っていて、いけてる美女のライバル役と思っていました。

JaniceBeard_45wpm_s.png



リスさんがそんなに素直なラブコメををやるはずもなく。
USドラマ『アグリー・ベティ』のようなダサい女の子が活躍する話でした。以下ややネタバレしますが、細かいところは不明です。

ジャニス(アイリーン・ウォルシュ)は生まれた時にお父さんが亡くなり、以来ウツで引きこもりの母を楽しませる努力をしてきた(主に作り話で)。23歳のジャニスは治療費を稼ぐためスコットランドからロンドンへ働きに出る。タイトルについてる「45wpm」というのは”45 words per minute”(1分間に45語タイプ)という意味で、タイピングが遅く職が見つからない。オープニングのキャストのクレジットが校正記号でどんどん訂正されていくのでおもしろい。

ジャニスは大切にしていた南米の民芸品を生活費の足しにするため、蚤の市に売りに行く。ネックだけリュックからのぞいていてギターにしては小さいしと思ったらチャランゴ(アルマジロを使った南米の弦楽器)だと思われます。

民芸品も売れず職も見つからず困っていたところを幼なじみのヴァイオレットに出会い、彼女の働く自動車会社の臨時職員になる。その会社は新車発表会を間近に控えて慌ただしくしていた。ジャニスはいつもハンディカムを持ち歩き、母に見せるために嘘満載のビデオを撮影していたが、初出社の日にデスクの上の設計図を映して怒られる。ジュリア(パッツィー・ケンジット)は、スマートなスーツで決めてできる女演出が激しい、ジャニスの部署の女子職員のまとめ役。郵便室で働くショーン(リス・エヴァンス)が来るとジャニスの頭の中に音楽がなっちゃうんです。ショーンはやっぱり寝癖つきですが、親しみやすいイケメンで社食では女子社員が周りを囲んじゃう人です。固くなった中華麺みたいなスパゲティ(パスタじゃない)がものすごくまずそう。ショーンはジャニスが社内でビデオを撮っていたことから彼女に興味を持ちデートします。自分はロンドンっ子で音楽家の両親を持つボンボンだと嘘をつきますが、ジャニスもそういう嘘は大得意。ショーンに裏があるのは最初から見せていて、利用するために近づいたものの、ジャニスが気になる。二人とも作り話がうまいとか、鼻の穴を動かせるとか、寝癖とか、実は似た者同士。

独特の服装のジャニスは周りの女性社員に溶け込めませんでしたが、実はセンスがいいことがわかりだんだん人気者になっていきます。幼なじみのヴァイオレットも裏切られたような気分だし、いけてる女子社員ジュリアも、実は努力で今の立場を築いてきたから奪わないでほしいとジャニスの前で泣き、二人は打ち解けます。そして新車発表会の日に事件が起こり巻き込まれたジャニスは解決し、それをきっかけにお母さんの引きこもりも治り、紫しか着られなかったヴァイオレットもジャニスのおかげで呪縛が解け(セリフが分からないので事情が分からない)、ジャニスは最後に大嘘を放ち、それで彼女は成功するかもしれません。世の中そんなに甘くないのがUK映画かもしれないけど。ショーンは結局ジャニスに惚れましたが、彼女は彼の手は取りません。まあ悪い人だったし。ベアードは心臓に毛が生えているみたいな度胸のいい嘘つきということ?

そういうエンディングなのも、これも女性による女性のための映画だったからで、『悪女』、『ナニー・マクフィー』とリスさん映画では3本目。地方出身者とか格差が背景にあるみたい。でも楽しい映画でした。20年近く前の映画なので今と比べるとどうかわかりませんが、いけてるジュリアも自己演出がうまいだけで実態はお茶汲みを言いつけられたり、ジャニスはOLらしい服装をするように他の女子社員に言われスーツの載った◯ッセンみたいなカタログ回されたり、トイレ会談や給湯室トークや、日本みたいと思いました。

あまり英語がわからないのに、
A「私髪ショートにしようかしら」
ジャニス「やめたほうがいいと思う」
A「そうね、顔が丸すぎるもんね」
ジャニス「ホント △◯×◎□△◯×◎」(口が滑った感じ)
A「……」
ジャニス「あ、そういう意味じゃないから」
っていうのが不思議に伝わる。

そしてリスさん、いい雰囲気のシーンもあるのに、やっぱりただの好青年ではありませんでした。みんなでサルサを習っているシーンでは、巻き込まれたリスさんはダンスしながら背中にあるものを隠すコミカルな動きがこの人らしい。完全な悪人になりきれない役柄も良かったです。クライマックス、車が飛び込んでくるシーンは低予算映画ながら映像も頑張っています。引きこもりだったお母さんが、ジャニスの共犯と疑われてロンドンに連れて行かれるシーンで、美しい木立に思わず笑顔になるところも好き。以前紹介したリスさん映画『ギャング in UK』と同じ頃なのと気楽に楽しめるコメディの雰囲気が似ています。

Jbflyer.jpg
image from amazon


この作品の日本版ポスターは「のだめ」の二ノ宮知子さんのイラストで女の子二人だけのもの。
リスさんでミスリードするUK版のポスターとはちょっと違い女の子が活躍する話として公開されたのかなと思います。DVDには「73%の社内恋愛は悲惨な最後をとげる、これもそんな話」とキャッチコピーが書いてありました。

Rhys filmarathon/ Christmas Carol

まだ暑いのにもうクリスマスか、とお思いでしょうが、少し前に発表されましたが、リスさんは今年はオールド・ヴィク劇場で『クリスマス・キャロル』のスクルージをやるんです。

去年は秋の終わり頃に同じオールド・ヴィクで『キング・リア』に出演、道化役でした。『キング・リア』は現代版なのか衣装がスーパーマンのロゴ入りガウンでした。リア王役はグレンダ・ジャクソンさんという女優さん。wikiによると現在81歳、女優から労働党の政治家になり運輸大臣を務めたこともある方のようです、同一人物か自信がないですが、お顔が似ています。

オールド・ヴィク
こちらのサイトのレビューにも、80歳だけど彼女は素晴らしい、と書いてありますね。
wiki グレンダ・ジャクソン

リスさんは女性監督の作品に3本も出ているし、リスさんマラソンをするまではそういうことも知らなかったので意外でした。
最近は「ブレグジット撤回せよ(CANCEL BREXIT)」Tシャツで写っていたり(Instagram @lahamnett デザイナーのキャサリン・ハムネットさんが行っている運動、少し前に市内でデモもされたようです、シェルターcymruというウェールズのホームレスシェルターのアンバサダーをされたり、今年3月ごろ難民の子どもに適職や生活や教育をというデモにもトビー・ジョーンズさんやジョエリー・リチャードソンさんと参加していました。ごく最近の話題ではウェールズの地元のパブが閉店しそうなので新しい出資者求むという広報活動もされていました。パブの話は、ニック・フロストとサイモン・ペグの映画『ワールズ・エンド』でも故郷に帰ったらチェーン店のパブばかりになっていたとか、TV番組でも大勢の町民が出資して維持しているパブが出ていましたし、そういう時代なのかなと思いました。他にもウェールズ語を残す活動もされています。出演作の映画『アンダー・ミルクウッド』(ウェールズの詩人ディラン・トマス作)も英国の映画賞を取っていましたが「外国語部門」なのに驚きました。同じ国じゃないのって、連合王国なのにさ。でも本当にウェールズ語は全く違います。

いろんなことをされているようで、いろいろ織り交ぜたのがリスさんと思います。過去のインタビューによると40過ぎてから車の免許を取ったそうですが、その時の有名人御用達のドライビングスクールの先生が「一番おもろい生徒だった」とFBに投稿しているのをファンサイトの方が発見していました。

さて『クリスマス・キャロル』ですが、おじいさん路線だあと思ったのですがニュー・エディションと書いてあるので、原作そのままではないようです。またヴィジュアルが20年くらい前のすごくいい写真使っていてちょっとずるいなと思いました。ディケンズの『クリスマス・キャロル』はけちんぼのスクルージが3人の幽霊に脅されて改心する話というくらいしか知らないので読んでみました。新潮文庫は村岡花子さんの訳で、ホームズの延原謙さんの訳のように現代に合わせて少し改変されていますが、ユーモラスですぐ読めました。やっぱりキャラがリスさんにはまる気がして、リスさんの声で脳内再生して読めました(ちょっと危ないやつかもしれない)。リスさんは日本語喋るわけはないのですが。

スクルージは金貸で共同経営者が数年前に亡くなり一人きりの雇用者に厳しくするばかりで、クリスマスの寄付を募る男にも、私は税金をたっぷり払っているし困っている人は税金で運営する救貧院に行けばいいと寄付を断る男です。そんなスクルージの元へ過去、現在、未来を見せる幽霊が3人順番にやって来ます。幽霊がやってくる前、ドアの取っ手が亡くなった共同経営者の顔に見えるのなど軽いホラー表現、ディズニーの喋るカップや動く燭台などに慣れているのでそんな感じに想像できますが、さて舞台の上ではどう演出するのだろう。そしてディケンズは19世紀前半の人だけどそういう想像をしていたのだなあと。原作を読んでみて初めて知ったのが、スクルージには若い頃に恋人がいたこと。でも仕事にのめり込むスクルージのために、彼女は持参金付きの嫁をもらうべきだと思って身を引いたそうです。そういう若い時代も演じるのかなあと、見に行けるはずもないのに色々妄想。元恋人の夫がクリスマス前に一人で事務所にいるスクルージさんを見たよ、寂しそうだねと妻に話しています。そのもっと昔のスクルージが丁稚だった時代、店の主人は今のスクルージよりもずっと優しい人でしたが、スクルージと他の丁稚は「仕事が終わると帳場の下の寝床に潜り込む」と書いてあって、地下なのか、どんな状態か構造か想像もつかないです。

スクルージの身寄りは甥の家族がいるだけで、彼らにも長い間会っていない。3人の幽霊に、雇用者一家が貧しいながらも家族で楽しく過ごしている様子や「あんたそんなじゃろくな死に方はしないヨ」という未来を見せられてスクルージは改心します。昔の小説で子どもも読めるものだからか、私の感覚ではスクルージの改心がとても素直に思え、もっと頑固者を強調したくなりました。原作の時代には変わり者だった人が、現代にはとてもたくさんいる気がします。

Rhys Ifans in the Campaign film of Smythson

Smythson(スマイソン)秋冬キャンペーンのフィルムにリスさん登場です。
非日常への旅ということで、とても素敵なフィルムです。

Where is the palace?

↓↓↓Smythson HP(リンクははっていません。)
https://jp.smythson.com



Rhys filmarathon / SPIDER-MAN and Peter Pan

スパイダーマンホームカミング」おもしろかった。
ELEMENTARY」のマイクロフト役のリスさん好きから「アメイジングスパイダーマン」を見て、アメコミみたいな絵が描きたくなりよりぬきコミックを買ってみると、アメスパは原作に沿ったお話でした。悪役コナーズ博士の細かい設定もわかりました。

curtconners_2s.png


今回の「スパイダーマンホームカミング」はアヴェンジャーズなどのヒーローものとからめた新しいシリーズで、ピーターが子どもだというところがおもしろかった。トム・ホランドのスパイダーマンに比べるとアンドリュー・ガーフィールドはすごくしっかりしているし、秀才として描かれていました。もう一つ前のスパイダーマンは、あまり覚えていないけど、わりと普通の高校生だった気がします。

キーワードは「忍耐」。企業で働くか一匹狼でいくかみたいなね。忍耐が足りない時ってピーターくんみたいなもんなのかなあ、と思ってちょっと息苦しかったです。まあ、私のヒーローは、ギャヴィン・カヴァナ(『パイレーツ・ロック』でリス・エヴァンスが演じた)、「Are you breaking laws? Are you breaking rules?」というDJです。法をおかしたいわけではありませんが、自分は真面目なのでこういう適当な人になったら楽しそうだなと思います。キャストも楽しく、バットマン→バードマン→翼男とか、ジョン・ファブロウ&ロバート・ダウニーJr.は私にとっては「シェフ」。「バードマン」も「シェフ」もどちらも好きなので。ドラマ「ベター・コール・ソウル」の悪役マイケル・マンドゥも出てきたし、学力大会のメンバーは「グランドブダペストホテル」のゼロ。

アメスパでは、ピーターはGFのグエンの部屋の窓から彼女を連れて夜空を飛ぶ場面が描かれていてピーター・パンしています。映画でよく使われる表現だと思っていました。しかし原作コミックにピーターがずっと大人になった時、もうヒーローに憧れた子ども時代は終わりにしなくてはとスーツを捨てている場面があるのです。空を飛び敵と戦う子どもと大人という対立概念こそピーター・パンです。そう考えると、自分で実験して右腕を失った隻腕のカート・コナーズはフック船長でスパイダーマンの敵役にふさわしく、フックを演じたリスさんにぴったりです。

「スパイダーマンホームカミング」は全く違う描き方でおもしろかったけど、ビルの瓦礫に埋まるのは原作だなと思い、GFとお父さんはアメスパだなと思いました。「スパイダーマンホームカミング」のエンディングのイラストがかわいく子どものスパイダーマンにぴったりでした。アメコミみたいな絵はまた挑戦したいです。

映画『聖トリニアンズ女学院』

『聖トリニアンズ女学院』(2007)



学園コメディです。
ルパート・エヴァレットとコリン・ファースが共演しているので前から気になっていたのですが、とっってもバカバカしいコメディが見たいときにいいです。女性陣がボンドガールだったジェンマ・アタートン、タルラ・ライリー、ジュノー・テンプルちゃんと、この世代の女優さんはクリスティものや映画でよく見るので好きです。他にもスティーブ・フライとかトビー・ジョーンズと豪華です。学園長がルパート・エヴァレット、悪の巣窟の学園を潰そうと敵対する文部大臣をコリン・ファースが演じていて過去作品『アナザー・カントリー』や『高慢と偏見』などをネタにしていました。何十年経ってもネタになるのがおもしろい。映画では学園長の姿をスルーしていて、深読みしたくなりました。漫画原作で過去にも映画が作られているそうで最初のは1954年なんだそうですよ。このメンバーでは2もありますが未視聴です。

バディ・ホリデイ(ダジャレです)


なぜだかバディ・ホリー特集です。
「Everyday」という曲がBGMで使われている、映画『Mr.NOBODY』より。
主人公ニモのパパ(リス・エヴァンス)とママ(ナターシャ・リトル)の出会いからニモの子ども時代ダイジェストです。



ものすごく久しぶりに見た映画『Stand By Me』でも使われていました。
動画は懐かしの名シーン特集です。



60年代のイギリスの海賊ラジオ局の話、映画『パイレーツ・ロック』(The boet that rocked)より。


Gavin said Buddy Holly.


宇宙一(映画のなかでは地球一)かっこいいDJギャヴィン・カヴァナ(リス・エヴァンス)が
レディオロックに復帰し、DJもリスナーも喜んでいるシーンです。
彼が紹介している曲はこの3曲、
The Crazy World Of Arthur Brown - Fire
Yardbirds - For Your Love
The Box Tops - The Letter

2曲めのヤードバーズのところで「バディ・ホリー」と言っています。
最後はニュースのお時間ですよとニュース担当キャスターに振りながら、
笑かそうとしているギャヴィンです。

こちらはタイトルが「バディ・ホリー」、ウィーザーの曲。



最後はコスプレのウィーザー(^m^) トリビュートだそうです♪
Weezer - Feels Like Summer (Roses N’ Weezer Version)

TWIN TOWN 20th anniversary






週末の話題ですが。
1997年のウェールズ映画『TWIN TOWN』、20周年記念の上映会が舞台となったウェールズの第二の都市スォンジーで開催されたそうです。SNSでもたくさん画像がアップされていました。野外で雨も降っていたそうですが、傘もカラフルで、映画に出てきたACコブラというオープンカー、ツインズの住んでいたホイールで飾られたワゴンの廃車のショップも出たり、台詞がかかれたTシャツ着ていたり楽しいお祭りだったようです。サマータイムの似合う映画です。サーフィンもビーチも出てこないけど。主演のリス・エヴァンスも、20年後に接着剤のシーンを演じた(写真なのかムービーなのかわからない)みたい。

リアルタイムで観られた日本の方のコメントに、ウェールズ版トレインスポッティングと期待しすぎてはダメとありました。日本でほぼ残っていない感じなのもきっとそのせいですが、ブラックでクレイジーでとても好きな映画です。トレインスポッティングはとても明快なストーリーとシニカルなコメディ。一方こちらはとぼけた雰囲気と、よく練られた台詞、超ブラックコメディ、劇中に使用されている曲とのつながり、最初に見たときもそれなりにおもしろかったのですが、いろいろわかってくるとどんどんおもしろくなる、英語がもっとわかるともっとおもしろいだろうなと思う。SNSで見るとウェールズの地元愛だけでなく、若い人にも大好きな人が多いらしいとわかります。日本人に受けなくても本国では今も人気がある、そういう作品です。

リス・エヴァンスと弟のリール・エヴァンスが初主演の映画。
撮影チームもリユニオンされて、続編進行中です。
この作品のことを書くのは楽しみにとってあります。

twin_town_mono_s.png