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BBC「シャーロック」とその周辺について

Rhys Filmarathon extra article/番外編 映画『TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ』

『TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ』(2016)

クドカン脚本・監督の地獄でメタルの話です。
設定からして気になっていたのですが、やっと見ました。やっぱりリスさんの『リトル・ニッキー』をやりたかったんだなというのが私の勝手な感想です。これにはタランティーノもカメオ出演してましたし。話は全く違うので、ハリウッドさん、堅いこと言わないでね。

タイトルが出るところ、かっこよかったです。
ジミヘン、カート・コバーン、忌野清志郎、全部故人なのもちょっと笑います。
修学旅行中(多分阿蘇山の地獄めぐりをしていたよう)にバス事故で死んでしまった高校生の大助(神木隆之介)が主人公で、地獄に落とされ、地獄専属ロックバンドHellsに出会う。ヴォーカル・ギタリストのキラーK(長瀬智也)はすでに7回の輪廻転生を終え鬼になってしまっていた。大助は片思い中の女の子に気持ちを伝えぬままだったので、なんとか現世に人間で生まれ変わりたいと奮闘。7回の転生のチャンス(罰じゃなくてチャンスだというのがすごくポジティブ)と、ジゴロック大会で優勝すれば人間になれるというロックバトルで戦うお話です。仏教の地獄観がうまく盛り込まれていました。

リトル・ニッキー』は魔王の三男坊ニッキーが、家出して人間界に新・地獄を作ろうと目論む意地悪なアニキたちを連れ戻すために地獄と人間界を行き来するテンドンのテンポも早くて、改めておもしろいと思いました。こちらは90分と短めなのでテンポもものすごくいい。『TOO YOUNG TO DIE』はネタ的に120分は長いなという印象でしたが二回目に見たらそれほど気にならなかったです。なんだろう、恋する少年の部分はどのみち漫画っぽいのでスピードアップしてほしいとかワガママなことを思いました。そこも「2大つくりたいポイント」の1つとはよーくわかっているんだけど。

クラスメイトで地獄に落とされた早弾きのジュンコさん(皆川猿時さん)がオジーっぽかったり、高校生の大助が最後にはスクールボーイのコスチュームでおなじみのAC/DCのアンガス・ヤング風になっていたり、元メガデスのマーティもギター弾いていたり。みうらじゅんさん、そこだけトーク番組みたいだし。お祭映画の部分は楽しかったです。

そういうラインナップも『リトル・ニッキー』っぽくて、オジーがカメオ出演していたし、AC/DC、KISS、DIO(特典のインタビュー出演)あたり、ロックレジェンドなのでかぶるといえばかぶるし、かぶせたと言えなくもない。悪魔の長い舌も仏教的解釈にアレンジされていました。キラーKのメイク、リスさんのエイドリアンと顔を真っ赤にペイントしていた『ケミカル51』も連想するけど、Poisonのジャケットも長い舌を出した悪魔メイクのやつ(これはメンバーではなくモデルの女の子がやっていたそうです)があったなと。リスさんのサタンは目の上の出っ張りとか日本の鬼みたいなフォルムでした。大助は修学旅行に張り切ってストパに失敗した変なヘアスタイルで前髪を気にしていますが、ニッキーも長めの横分け前髪に隠れたシャイな男の子という設定でした。黒縄地獄という縄に吊るされる罰がありましたが、エイドリアンは人間界でのニッキーの仲間を人質として吊るしちゃうんです。しゃべるブルドッグ・ビーフィーくんがいましたが、『TOO YOUNG TO DIE』でもしゃべる犬、出てきました。ジュンコさんのスカートの中を見せていたのも(一応そういうコスチュームなんで大丈夫)、『リトル・ニッキー』でヒトラーが地獄でメイドさんのコスプレをさせられているのと似ていますが、こちらはセリフで誘導して絵で最後まで見せずにかわすというのがすごくうまい。映画全体、毒はあるのに見せ方はうまくかわしていて、製作がTVチームだからこそかもしれません。

そして『TOO YOUNG TO DIE』の天国のイメージがおもしろかったです。リスさん出演作『Mr. NOBODY』とそのオマージュ『2001年宇宙の旅』あたりのイメージが入っていると思います。メンバーの女の子が邪子で元ネタは『Mr. NOBODY』のJaco監督かなと。天国の〇〇へのこだわりはダニー・ボイルか?『リトル・ニッキー』は特典のメイキングインタビューで、斬新な天国のイメージ作りが一番悩みどころだったとアダム・サンドラーさんが話していて、普通は真っ白な世界にしがちだけどパステル調のバスーデーケーキみたいなイメージにしたと語られていました。クドカンバージョンもかなり斬新で宗教観の薄い現代的日本ならではかと思います。

小ネタですが、キラーKの現世での姿の近藤さんと彼女の死神(あだ名)が、耳の後ろを押さえてボン・ジョビっぽいって言っているの、『恋愛睡眠のすすめ』のガエル・ガルシアくんとシャルロット・ゲンスブールさんの「眼鏡のつるが・・・」っていうところと似ていました。『恋愛睡眠』の二人はクドカン作品『タイガー&ドラゴン』の時の岡田准一くんと伊東美咲さんの元ネタに見えて仕方がないです。

最後にタイトルの『TOO YOUNG TO DIE』、『TOO LATE TO DIE』という曲がモトリー・クルーにもハイロウズにもあります。むかしはロッカーは早死にするのがいいなんて言われていました。今はジイさんになってもロックやり続ける姿に夢を見ます。

関連記事/Rhys Filmarathon 『リトル・ニッキー』悪魔が憐れむマイノリティの歌
Rhys Filmarathon MR. NOBODY(1) Nobody but Rhys Ifans
Rhys Filmarathon MR. NOBODY(2) シンギュラリティ(特異点)と死のない世界
『2001年宇宙の旅』
2001.jpg

関連記事
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Rock, comic, novels, and miles of films(2) 薦めていただいた作品2

「Rock, comic, novels, and miles of films」という新カテをこの前作ったけれど、どうカテゴライズするかまだ検討中。タイトルは大好きなガイ・リッチーの『Lock, stock and two smoking barrels』から。

『Lock, stock and two smoking barrels』
これは誰かに薦められたのではないですが、ジャケ買い的勘から。でもネッ友の方にお好きな方がいらして。『Lock, stock』は映画版とドラマシリーズ両方を見ましたが、翻弄されっぷりからすると映画版の方が好き。その間抜けな混線ぶりを裁く手際が本当におもしろかった。混線系ではリスさん映画『マイ・ファニー・レディ(She's funny that way)』もですが、そこはもうちょっと、と思いました。これはブロードウェイの話でセリフのコメディなので、英語がわかるともっとおもしろく見られるそうです。『Lock, stock and two smoking barrels』は話の収まりが本当に鮮やかでした。映像の色味も今は『SHERLOCK』のように青みの強い寒色系に振るのが主流のようですが、『Lock, Stock』は黄色と緑を強めたレトロな色合いで久しぶりというか新鮮でした。『Lock, stock』ドラマ版にはマーティン・フリーマンが出ていたのですね。そこは知らずに見たので得した気分です。00年代のドラマですが、こっちの方が『トレイン・スポッティング』原作続編テイストでした。オランダ、◯ルノビデオ制作(変なワードに引っかかると嫌なので伏せときます)、薬物、クラブ。13と30を勘違いするとか『ギャング・オブUK』(こっちは16と60)でもあったのでお約束なのでしょうか。このあたりはRhys Ifans カテからどうぞ。ドラマ版はカットがマンガ的というか見せ方が本当におもしろいです。
マーティンはクラブDJ兼売人でしたが、近い時代のリスさん映画『イビサ・ボーイズ・GO DJ』の解説によると、当時はミュージシャンになるよりもDJになりたがる子の方が多かったそうです。そして『トレスポ』とか英国人作家イアン・マキューアンによるとオランダには英国人の住む地区があるし、オランダから薬物が英国に入ってくるとかそんな話が出てきました。

さて、本題に入ります。薦めていただいた作品について書きましょう。

シャーロック課題図書?『占星術殺人事件』島田荘司

読んだのは二年ほど前。アップするのはもう一度読んでからと思っていたけれど、思いっきり時間が経ってしまい、とっくに御手洗シリーズは玉木宏で映画化されたのだった。私はドラマも映画も逃しています。

本作は日本三大推理小説に入る作品だそうだです。
解説によると、作者が30歳で書いた処女作品とのこと。
あまり本格は読みませんが、理詰めぶりがすごい。読者が思いつくであろうことをどんどんつぶしていくので、ナンクロしているみたいでした。

戦前の時代設定なので夢野久作のような雰囲気がした。そして、このめんどうな記述は『ドグラ・マグラ』式かなと思ったらそうでした。トリックと犯人は分かったけど、細かいところまで推理できなかった。

「シャーロック・ホームズを意識」したキャラクター設定。
ホームズが好きなくせに悪口。原作ではホームズは老婦人に変装して犯人に傘を拾わせるエピソードがある(『恐怖の谷』だったかな・・うろ覚えです)。私もあの長身でおばあさんのふりなんか無理じゃん!と思っていた。「みんな、おや、ホームズさんが歩いている、と思ってだまって見ていたんだよ」。そしてガイ・リッチー版映画『シャーロック・ホームズ』の女装は未完成。

平吉の死因の迷推理は、意識もうろうな状態で床に伸びていた本人が誤って鉄製のベッドに頭をぶつける、でした。私は自転車置場でラックによく頭をぶつけるので。これは可能性がちらっとさえも出て来ないとんだ迷推理でした。


『さよならソルシエ』 穂積
2016年の『ゴッホとゴーギャン展』がおもしろかったのですが、その時に教えていただいたマンガです。画家フィンセント・ファン・ゴッホを支えた画商の弟テオルドフが主人公。テオは兄を生涯献身的に支える温和で真面目な弟という従来のイメージを覆し、切れ者でやり手の画商、プロデューサーとして描かれています。タイトルのソルシエとは魔法使いのこと。

着眼点はすごいなと思いました。

ゴッホへの興味は、小学生の時に読んだ伝記本から始まります。偉人の伝記はほぼ読まなかったのですが、その時はたまたま一冊に入っていたゴッホとは別の人が読みたかったので図書館の本を借り、全部読まないと返してはいけない決まりだったのでゴッホも読みました。聖職者としてものすごーくストイックな暮らしをしていた時代、夜、お祈りをしながら鞭で自分の足を叩くシーンがあり、子ども心にやばい、と思ったものでした。そういう厳しい戒律の宗派もあるんです。ピューリタンのオランダの人だしさ、多分。でも下宿のおかみさんは変わり者扱いしていたように覚えています。そういう変人の画家と彼を支えた弟テオがなんだかつらそうだなと印象的でした。そのあとゴーギャンとのアルルの暮らしや事件があり、読むのが大変だった分印象も強いのかもしれません。

マンガに戻って、兄を支えようと思ったら、そんじょそこらの画廊勤めでは無理。物語の中ではテオはパリで超一流の画廊に勤めている。顧客も貴族や金持ちで当時の芸術は一部の恵まれた人のものでした。しかし街にはフィンセントを始め若く新しい芸術を模索する画家たちが大勢いた。権威のある展覧会には、彼らのような新しいタイプの画家は出品すら認められません。
そういう若い画家のためのアンデパンダン展(インディペンデントということですよね)を開く。
そして夭逝した「炎の画家フィンセント」を作り上げたプロデューサーの弟。
フィンセントは怒りの感情を知らないので何を見ても美しく感じる人物として描かれています。ニコニコして放浪の画家って、山下清みたい(ドラマイメージですが)。今私たちが知っているゴッホのイメージは弟によって死後作られたフィクションだったとするものです。

弟に目を向けるのはとてもおもしろいのですが、気になったことがあります。
アンデパンダン展の印刷物(パンフレット的なフライヤー)を用意していたのです。しかし、結構ギリギリまで画家たちは絵を描いていて、絵の具が乾くのもなんとか間に合いそうといっている。

・印刷物を用意する時間はあったのか
・この時代写真製版できたのか

マンガの中ではグレーに変換したもの(要するに網点のあるもの)が貼られています。
そこから少し変な方向に興味が向い(苦笑)調べてみました。結論はわかりません。

ゴッホの活躍したのは1890年前後。ホームズの時代とも重なりホームズはもっと後まで続きます。ホームズといえばパジェット先生の挿絵が売りでした。挿絵は単彩ですが線画のものと、墨の濃淡が印刷の網点で表現されたものと両方があります。これは写真製版なのか石版印刷なのか。印刷のタイポグラフィ(文字)の話は資料もありますが、グラビア印刷の方はネット検索ではまとまったものがなかなかなくて。イギリス人のウィリアム・モリスも同時代の人で参考になるかと思ったのですが、印刷物の氾濫により醜いものが増えたことを嫌って美しい本作りも手がけていたのですが当時の技術と逆行する昔ながらの手法で美を追求していたのでした。

結局『ファン・ゴッホ評伝』(二見司郎 みすず書房 2010)という本に、ゴッホがグーピル商会で働いていた時代に、画廊は絵画の印刷による複製販売もしており、写真製版していたと書かれていました。

しかし別のゴッホ研究書『ゴッホ 契約の兄弟』によると、当時写真製版はできなかったとあります。石版印刷だったと。ゴッホの手紙の中にも石版画のことは出てきます。石版は薬品をかけて化学反応で凹凸を作る方法です。こちらは線画っぽい仕上がりになります。作るには油絵とは別に線画か少なくとも縮小した下絵がいるのではないかと思うので、全く内緒で作るのは難しそうだし、ゴッホが他の画家の下絵を代筆したとか?少し無理があるような。顔写真は残っているので当時写真自体はあるのですが、写真製版できたかははっきりしません。

ゴッホの書簡集を読むと、手紙の中にはゴッホのスケッチとか今こんな絵を描いていますという線画も入っています。なので、このマンガの話でいくと(ネタバレするのではっきり書きませんが)、そういうのも全部そうなの?ウムムと思います。ゴッホってすごく筆まめな人で20年以上に渡ってフィンセントが弟テオドルスに書き送った手紙は膨大な量です。(しかもネットでも見られるそうですよ!)東野圭吾野の『悪意』がそんな話でしたが、この場合20年分は大変だ。全書簡集は4巻もあるそうです。

『ファン・ゴッホ評伝』には「狂気と天才」というドラマなどで流布した行き過ぎたイメージがあるとも書かれています。
また『ゴッホ 契約の兄弟』は、「生涯に1枚しか絵が売れなかった画家」というのは本当に売れなかったのではなく売らなかったからだと推測しています。実は生前それなりの注目を集めていたゴッホ、死後の高騰を見越して売らなかった、という説。『さよならソルシエ』はこのあたりのことを描いたのかもしれません。この本の兄フィンセントは山下清のようにはとても見えませんが。テオの働いていたグーピル商会というのはパリの画商ですが、もともとゴッホ兄弟の叔父(伯父?)さんがオランダで画廊を経営していて、グーピル商会の傘下に入ったというか売ったのでした。兄フィンセントも若い頃働いていました。テオはゴーギャンの絵も取り扱っていました。テオはフィンセントの死後1年ほどで亡くなっています。本によると死因ははっきりしていないが梅毒末期だったとか。

2016年の『ゴッホとゴーギャン展』はゴーギャンが耳切り事件とゴッホの自殺をかなり引きずっていたのではというドラマがおもしろかったです。ゴーギャンをモデルにしたモームの『月と六ペンス』もおもしろかった。ストーリーもおもしろいのですが、語り手である若手小説家の地の文もおもしろいです。「人生は無理をして嫌なことをしなくてはいけないので二つやっている、朝起きることと夜眠ることだ(注 ここも記憶で書いています)」相当カッコつけていますけど、おもしろい。で、私のゴーギャンイメージはリス・エヴァンス。昨日流れていたのはウィレム・デフォーがゴッホをやるとか。この方の年齢からすると、実際のゴッホよりはだいぶ年上ですけどね。

※ゴッホ兄はファン・ゴッホに合わせてフィンセントで統一しました。英語読みならヴィンセント・ヴァン・ゴーグ、フランス語ならヴァンサン。※そして例によってマンガについての評論や感想は一切読んでおりません。独断で書いています。※印刷技術に関してはもっと調べたらわかるかもしれませんがひとまずこの辺にしておきます。

Rhys Filmarathon extra article 番外編/映画『シンプル・シモン』 

シンプル・シモン』 Simple Simon (2010 Sweden)


simplesimon_small.png
"Simple Simon" Sweden
The story of an Asperger's syndrome young boy, Simon


書きかけで寝かせたままだったのですが、最近とてもお世話になっている絵文字に敬意を表して、スウェーデンの映画『シンプル・シモン』 です。詳しくは書きません。

主人公は二十歳前後のアスペルガーの男の子シモンです。
数学が好き、宇宙が好き、丸いものが好き、
触られるのが嫌い、茶色いものが嫌い、変化が嫌い、
自分より937倍かっこいいお兄ちゃんが大好き。

シモンのせいで兄と彼女が別れてしまったので兄のために新しい彼女、しかもアスペルガーのシモンに耐えられる子を探す話です。ポップで生き生きしたストーリーでした。



イギリスの作家マーク・ハッドンの『夜中に犬に起こった奇妙な事件』という同じくアスペルガーの少年を扱った小説があり、ナショナルシアターライブでも舞台化されていました。ちなみにこのタイトルはホームズの「シルバーブレイズ(銀星号事件)」からです。この小説に出てくる感情を表すニコちゃんマークが『シンプル・シモン』にも出てきます。


emoji.png
To recognize people's feeling, Simon uses 6 types of faces. They are like Emoji.


メモをしていなかったので、分類は正確ではないとお断りしておきます。日本の場合は「喜怒哀楽」の4つ、残りはloveと特に何も思っていないかなと2つをたしました。
シモンの場合は、人の表情を6つのマークに当てはめ、嬉しいのか、悲しいのか、怒っているのかなど人の感情を推測するのですが、例えば怒っているのに「怒っていないよ」とか「きっと元どおりになるから」などと、実際の気持ちと反対に相手を推し量った言い方をされるとどうしていいのかわからなくなります。

シモンとは近いようで異なるのですが、「空気が読めない」という言い方が苦手。読めないわけではなく読めているのに対処のしようがわからない、だからこそ居心地が悪いのだと思います。相手が今の自分の反応や行動が嫌だと思っていることはわかっても、相手の望むことは、その人との関係性や経験値が少ないとわからないものです。多分曖昧に笑ってうなづけば良いのでしょう。『夜犬』を読んだ時に、けっこう自分もそうかも、と思ったところがたくさんありました。長年コンピューター相手の仕事をしているせいもあり、YESかNOかはっきりさせたい方です。時間のない時ほど疑問を詰めてかからないと、後でやり直しの後出しじゃんけんに振り回されるからです。しかしお題を出す方は詰められることが好きではない。まあ仕事の性質上曖昧は苦手です。そして人を相手の仕事をされている方の度量の広さがまぶしいです。

映画では、時間通り、ルール通りが安心するシモンと、共同生活の人に合わせなければならない受け身の部分との間のギクシャクが描かれています。自分は不規則な仕事環境が長く続いたせいもあり、シモンのようにきちんと「何曜日に何をする」という行動予定に少し憧れを感じます。ただみんなが規則通りに動けばうまくいくのかというとそんなことはないし、ずっとそれを続ける退屈さに耐えられないだろう。

今回この映画をリスさんカテに入れたのは、シモンが最強デートをプレゼントするためにヒュー・グラントのラブコメを全部見たからです。『About a boy』で男の子が自分の母親とヒュー・グラントをデートさせようと画策するので この男の子の真似をシモンはしているのだろうと思いますが、『ノッティングヒルの恋人』のスパイク(リス・エヴァンス)も何かインスパイアしていたらいいなと思いました。なにせ彼は最強の後押しをしたのだから(笑)

simplesimon_simon.png
Simon watched and studied all of Hugh Grant's romance comedies to arrange
the greatest date for his brother. I wish Spike gave him a strong support.


さて、シモンが好きな映画がどうやら『2001年宇宙の旅』のようで、見たくなったので見ました。もうほとんど忘れていたのですが、合わせてみることをおすすめします。ヒロインのイェニファーの事がよくわかります。ヒントは「なんでもくれるって言われたら何が欲しい?猿とか?」という会話があるのですが、答えがそんなところに、という離れ技でした。そしてリスさん出演映画『MR. NOBODY』のおじいちゃんになったニモそっくりの人も『2001年』には出てきました。それ以外にも『MR. NOBODY』には『2001年』ネタがいろいろありました。少し長めの映画ですが、8時くらいから見て終わると10時半過ぎで、『シモン』でもちょうどそのくらいの時間だったので、なんだかおもしろくなりました。そして『2001年』とは関係ありませんが937は素数だとわかりました。

シンプル・シモン』の好きな脇役。
ものすごーくフレンチの腕を磨く努力をしたのにファストフード主流でお店が流行らないからバスの運転手をしているシェフ。
レンタルDVD店の血の出る映画じゃないと見た気がしないという女性店員。

パソコンも携帯もあるけど、田んぼの中の一軒家の風情の実家や、野原の中を走っていくバス、ピクショナリーというスケッチブックに描いたヒントの絵を見て当てるゲームで盛り上がれるなど、なんだか懐かしい感じが漂う映画でした。


関連記事は
Rhys Filmarathon MR. NOBODY(1) Nobody but Rhys Ifans
Rhys Filmarathon MR. NOBODY(2) シンギュラリティ(特異点)と死のない世界
2001年宇宙の旅
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Rhys Filmarathon /Dominion


dominion_s.png


イラストは映画『ドミニオン』(2017)より(IMDbに飛びます)。
イギリスで今年公開予定の映画で、ウェールズの詩人ディラン・トマスの最後の数年を描いたものです。リスさんはディラン・トマス役です。奥さん役でロモラさんが出演。インディフィルムなので日本公開や日本版が出ることも多分ないだろうなという気がしますがご紹介です。
※公開済みと書いてしまいましたが、今年公開予定と訂正をいただきました。(2017.5.10)

ディラン・トマス(1914-1953)
ウェールズ第二の都市スウォンジーに生まれ過ごした、20世紀最大の詩人といわれています。

昨年リスさん映画を見始め、『Twin Town』(1997)がスウォンジーが舞台であることからディラン・トマスにも興味を持ちました。この映画は特別好きなのですが、特に冒頭シーンが大好きで、「ディラン・トマスは『スォンジーは野心の墓場』(Swansea is the graveyard of ambitions.)と詩に読んだ」と語られます。それじゃあまずいので、市の観光担当は駅前広場に「野心に危機あり(Ambition is critical.)」と変更して書かせているというブラックジョークです。昨年はボブ・ディランのノーベル文学賞受賞のニュースから、彼の芸名の由来がディラン・トマスだと話題にもなりました。

ディラン・トマスは名前くらいしか知らない詩人で、もっと昔の人だと思っていたくらいです。詩集を出版し、ラジオやホールで自分の詩の朗読会のツアーを行ったそうです。ニューヨークへも何度か朗読会のため渡航し、最期はニューヨークです。アルコールの過剰摂取で39歳の若さで亡くなった悲劇的というか破滅型の詩人のようですネ。リスさんはそういう役柄が似合うと思いますが、ウェールズ語を残そうという活動をされていて、ウェールズ関連の映画に出られています。ディラン・トマス関連では、『Under Milk Wood(ミルクの森で)』という彼の作品を映画にしたものにも出られています。元はBBCのラジオドラマだったものだそうです。ちょっと幻想的な話みたいで、弟さんもポスターに写っているので出演しているみたいです。ググってみると、ずっと昔にピーター・オトゥール、エリザベス・テイラーで映画化されていました。

ディラン・トマスの本を読んでみましたが、わりと真面目な研究というか…
彼は詩をダイヤモンド型(ひし形)に文字が並ぶように書いてもいて、文字組で遊ぶなんて広告的とおもしろくなりました。これ、日本語訳もダイヤモンド型になっていました。散文のようではありますが。
若い頃はストーリー重視だったので小説>詩で、全く詩に興味がなかったのですが、できれば原文で読みたい、読めるようになりたいなと思いました。それには辞書だけじゃなくてバックグラウンドの知識がないと歯が立たないところもありますネ。そして日本の本て昔からの慣習と思いますが、原書片手にスタイルなので、一冊に対訳形式でまとめてくれたら嬉しいなと思いました。本という形は好きですが、もはや本の形に頼らない方がいいかもしれないジャンルかもしれません。

"Do not go gentle into that good night"
という詩が有名ですが、お父さんの死に際して読んだ詩だそうです。
映画のタイトルはこちらの詩からのようですね。
"And death shall have no dominion"
dominion=支配
英語版Wikiでは彼のこの部分の朗読が聞けます。

イラストは50年代とかニューヨークの感じが出せるといいなと思ってこんな雰囲気に描きました。

Rhys Filmarathon / Fanart 『Mr. NOBODY』


MrNobody_colors_s.png
最近リスさん映画記事をまとめられていないのでイラストです。


この映画についての過去記事は
Rhys Filmarathon MR. NOBODY(1) Nobody but Rhys Ifans
Rhys Filmarathon MR. NOBODY(2) シンギュラリティ(特異点)と死のない世界

映画『アメリカン・レポーター』

IMDbでトレーラーが見られます。Whiskey Tango Foxtrot (2016)

マーティン・フリーマン目当てで見てみましたが、おもしろかった。
これは日本で劇場公開スルーのディスク販売のみ。
ネタバレには注意してさわりの方だけ。
実話に基づく少し前の話。
主人公はアメリカのTV局勤務の40過ぎの女性キム。現場の取材をしたいのに原稿書きばかりさせられている。アフガン戦争で人手が足りなくなり急遽カブールに派遣され、戦場リポーターになる。カンダハールの方が戦争が激しく、彼女の行くカブールは前線ではなくニュースバリュー的には価値が薄いという事情があった。恋人がいるので三ヶ月派遣の予定だったのが、仕事がおもしろくなってだんだん期間を延ばしているうちに恋人に逃げられます。カブールでは、各国の記者が共同で暮らす家に住んでいる。マーティンはスコットランド人で、ちょっと手が早く少し嫌な感じのフリーカメラマン。重要な役なのでけっこう沢山出てきます。『SHERLOCK』の時のジョンが現実にはありえないくらいいい人(S3までの視聴での感想。その後あんなことやこんなことがっていうのはうっすら知っています)に思えるくらい、こちらの方が現実味のある感じでした。いや、こっちも逆ベクトルでカリカチュアされているかな。ちょっと仕事重視で冷たい面もありますが、まあこんな感じ普通でしょって。だいたい巻き込まれたり「困惑するマーティン」イメージがありますが、いつもと少し違います。
主人公は、カブールで親しくなった数少ない女性記者たちとそこへ来た理由を打ち分けあうシーンがあります。主人公の場合は、いつもジムで乗っている自転車の脇に(ある日自転車の置き位置が変わったのでしょうね)カーペットに深い溝ができているのに気がつき、前進もしていないしそれどころか後退している自分に気がついたというわけです。そんな共感ポイントもあるのですが、この人すごく美人で魅力的だからナ〜。
異文化・戦場という現場でどんどん成長していきます。そんな彼女の観察者で視聴者の目線で見ているのが、現地での通訳兼案内人のファヒード。彼は元医者で、モルヒネ欲しさに子どもに怪我をさせる親をたくさん見てきたこともあり、戦地での高揚感による脳内麻薬放出過多の依存症を主人公に忠告したりもします。主人公は、はじめは視野の狭いところもあり、彼女の取材で起きたことについて指摘されますがそれに対して主人公がしたこと、それで人から言われた結果のみが事実ではないとわかったこと、そこが良かったです。前進した結果は‥、マーティンとの最後の演出のためならまあいいかなと。
主人公を演じているティナ・フェイはサタデーナイトライブのコメディ女優さんだそうです。彼女の友人になる美人記者が『スーサイドスクワッド』のハーレイをやっていたマーゴット・ロビー。
マーティンと『FARGO』S1で共演していた殺し屋のビリー・ボブ・ソーントンも海兵隊の大将で出演していました。ロケ地もニューメキシコのアルバカーキ(『Breaking Bad』の舞台、『Breaking Bad』製作陣に『FARGO』に参加している人もいる)にカブールの街並みを作ったそうです。わりとテンション高いのでおもしろく見られる映画でした。

Rock, comic, novels, and miles of films(1) 薦めていただいた作品

今回は趣向を変えて、ネッ友の友人にすすめていただいたものについて書いてみます。
ブログを通じてすすめていただいたり勝手にいいなと思って見たり読んだりしたものを一部ですがまとめてみます。

映画『八月の鯨』リリアン・ギッシュ主演
アメリカの海沿いの田舎町の話です。年取った姉妹二人暮らしで、姉の方は目が悪いので妹が世話を焼いています。姉は離れて暮らす娘がいて、妹は結婚数日で夫が戦死し(多分戦争だったような、記憶が曖昧です)以来ずっと独身です。姉は昔からそうだったのでしょうが、自信に溢れやや高慢で妹は芯は強いがおとなしい人で姉に従う感じ。古くからの友人やロシアの亡命貴族の老人などと行き来する静かな暮らしで、夏には決まって鯨が近くまでやってきます。妹は鯨が見えるようにリビングに大きな窓をつけたいと思っているのですが、姉は「今さら」とか「老い先短いけどこの先どうなるかわからないし」というような理由で反対します。妹は亡命貴族の老人が好きなのですが、姉はただのお荷物だと反対します。妹も、その老人が亡命して以来嘘をついて誰か女性のところに転がり込んで今まで生きていきたということはなんとなく承知していて、それでももうこの年なんだから好きに生きていいじゃないの、というのが本音です。
妹の気持ちに焦点を当てて見ていたので、人が反対しても自分が納得する幸せならいいのかなという気がしました。この映画の場合、その年なら、っていうところが大きいですが。妹なしで生きられない姉の気持ちもわからなくはありません。しみじみしていて、すごく感動した、という感じではありませんが、生き方とかについて時々思い返す映画です。

映画『フル・モンティ』ロバート・カーライル主演
イギリスの田舎の鉱山のある街の話。何十年か前は鉱山のおかげで賑わっていた町も鉱山が閉鎖されて失業した男性数人がお金のためにストリップショーを計画するコメディです。失業したことやカードの借金がギリギリまできているのに妻に言えなかったり、夫婦仲がギクシャクしていたりと、いろいろうまくいかないことだらけですが、だんだん自信を取り戻していくという話です。イギリスらしいシニカルなコメディでおもしろかったです。なんだかんだで、ロバート・カーライルさんの出演作って見ていますしね。

三原順『はみだしっ子』
少し前に一回読み終わりました。まだ何度か読まないといけないなと思います。名作として人気が高いですが、なんとなく素通りしてきていました。もっとこう、なんでも自分のせいだみたいに背負い込む系の話かと思ったら違いました。逆に自分にあるそういうところもそうでなくていいんだと思いました。今さらですが。あとはジャニス、ツェッペリン、ストーンズの60年代ロックの感じに親近感が湧きました。いや、そんなに詳しくないですけどね~。

映画『テルマ&ルイーズ』
ブラピが悪い人の役で出てきて、そこはなんとなく覚えていたので、ずっと前に見たかもと思いました。高校を出てすぐ、在学中から付き合っていた年上の男性と結婚し虐げられているお人好しの専業主婦と恋人に捨てられた少し年上の女性が車で逃げ出すロードムービーです。途中で襲ってきた男を殺してしまったので、逃げ続けることになります。この時代ロードムービーがけっこう流行っていたのでよく見ましたが、日常からの逸脱はだいたい悲しい結末になるので、だんだん見なくなりましたが、これは終わり方がすっきりしていてよかったです。二人を追う人情派の刑事がハーヴェイ・カイテルでした。ところでハーヴェイといえば、『レザボアドッグス』も25年目にして集結するとかなんとか。最近のブームでしょうか‥。

映画『ザ・ウォーク』ジョゼフ・ゴードン・レヴィット主演
『スノーデン』のジョゼフ・ゴードン・レヴィットさんの出演作として教えていただきました。フランス人で綱渡りに魅せられて大道芸をしている主人公がニューヨークの貿易センタービルのツインタワーが竣工した時にゲリラで二つのビルにロープを張って渡る話です。おもしろかったですが、忘れていましたが自分わりと高所恐怖症でした。普段無意識に避けますからね、怖い所は。
手伝ってくれる仲間を少しずつ見つけて、実行の前にニューヨークに集結します。主人公が緊張のあまり傲慢だとか仲間の反感を買うので、そのあたりは疲れました。少し前に『Dr.ストレンジ』のストレンジさんは高慢か問題を考えたので、高慢というか自分本位(セルフィッシュってことかな)でエゴイストな面が時として現れるのかも。でも、無茶なことをしようとするからにはそうならざるをえないんじゃないかなとぼんやり思いました。

※あらすじは記憶が曖昧になっているので間違っている部分もあるかもしれませんがご了承ください。

映画『T2 Trainspotting』 Boys after summertime


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一応ネタバレなしに、簡単な感想です。

スコットランドを舞台にした前作『トレインスポッティング』から20年後の4人。
前作がとてもおもしろかったのでハードルも高いのですが、納得のストーリーでした。見る側も年齢が上がっている分(当然若い方も見られるとは思いますが)、変に夢のある話では納得できませんが、ちょうどいい感じだったと思います。製作サイドからは「20年の間に何を得てきたのか、揺さぶられる」ということで、引きこもりたくなるほど衝撃的だったらどうしよう(笑)とか、原作は『○ルノ』というタイトルでずっと前に出ていた日本語版もけっこう挑発的な表紙でしたが、えげつなさすぎる内容だったらどうしようとか(笑)。そのタイトルだとネットにアップする時に引っかかることがあるからでT2にしたそうです。ということでここでも一応伏字にしておきます。トレインスポッティングというのは廃線になった線路沿いに鉄道オタクのように陣取り薬をやるということですが、当時の廃駅には新しい駅ができています。

これは前作を見ておいた方が楽しめます。やっぱり便器とかね。前は「かわいい子は観光客」だったのが、今回は「かわいい子は外国人」でした。前作『トレインスポッティング』の原作本も最近読んだのですが、日本語もイキが良くて引き込まれました。前作からの内容も少し出てきました。続編は映画を見てから読むつもりだったので、少しだけ読み始めました。原作との距離感がどのくらいかが気になります。

前作「選ぶことをやめた若者たち」というのがテーマで、1980年代のスローガンが「Chose life」だったからという説明がT2に出てきます。超不況の当時の彼らにとってはギャグでしかなかったわけです。薬物依存の主人公は「人生を選んで」仲間を裏切って取引の金を奪って逐電します。一生に一度あるかないかのチャンスなわけですが(これは『ELEMENTARY』でジョン・ハンナさんがゲストの回もそういうエピソードでした。ついでに彼の出演していた『フォーウェディング』ネタも入っていました)、未来が開けるとはとても思えませんでした。本ではアムステルダムに行ったことになっています。多分シニカルなブラックジョークのような気がします。

サマータイムが気になる
この映画の監督ダニー・ボイル製作総指揮でトレスポの後に作られたのがケビン・アレン監督リス・エヴァンス主演のウェールズ映画『Twin Town』でこちらも20年経って続編製作が進行中ですが、この映画の中で使われているのがマンゴー・ジェリーの「In the summertime」という曲です。映画で初めて聞いたのですが、1970年のヒット曲だそうです。「夏には彼女を誘って出かけよう、彼女の親父がリッチなら飯に行こう、そうじゃなきゃその辺をドライブしよう(ってことだと思いますが)、冬が来たらパーティしよう、また夏が来て、そのうち所帯を持つかもね」となんとものんきな曲調がいいです。ビジュアルに衝撃を受けましたが、英国のミュージシャンです。歌詞と映像が両方入っているページのアドレスを載せておきます(リンクはしていません)。

マンゴー・ジェリー「In the summertime」
http://www.metrolyrics.com/in-the-summertime-lyrics-mungo-jerry.html

もう一曲、「It's gonna be a cold, cold Christmas without you」という曲が使われています。
「天気予報はクリスマスまで暖かくなると言っているけど、あなたがいないクリスマスなんてとっても寒くなるに決まってる」というようなことでしょう。「暖かくててだらだらすごした夏の頃の私たちを夢見ている」と続き、こちらはsummerday。

「It's gonna be a cold, cold Christmas without you」
https://www.justsomelyrics.com/1103082/dana-it%27s-gonna-be-a-cold-christmas-lyrics.html

アメリカのドラマ『ベター・コール・ソウル』は弁護士の話ですが、第1話のイントロ部分で、主人公ジミーが夏休み中によその家の家畜を酔った勢いで殺してしまった大学生の弁護のスピーチをしますが、「若者はいつまでも夏の日が続くと思っているがそうではありません」と言っています。

T2の中でも「サマータイム」のくだりが出てきて「夏時間なんて農夫のものだろう、時計の針を1時間直さなきゃならないなんてさ」とスパッドが嘆いています。1時間の差でいろいろなことに遅刻してそれが連鎖して‥と。
「サマータイム」は青春のことでもあり、T2の4人は「サマータイムの終わった中年たち」ということになりそうです。

子どものいる人もいない人もいるけど、父親不在で大きくなっている。出る幕なし。HIVも避けて生き延びて、ヤク中のままの人も断薬に成功した人もいるけど、心臓発作も切り抜けてあと2、30年は生きなければいけない。それが現代。そんなもの悲しさも多分に盛り込まれていて、前作同様に本作も未来への恐れをずっと持っていて。「過労死寸前の女が作ったスマホを使って」と、「労働条件の明らかな悪化」、苦笑します(リアルすぎ)。

「大型テレビなんかいらない」といっていた前作、本作には大型TVがやたら出てきます。当時ちょっとした贅沢品で安定した収入の象徴だったのですが、今やありふれたものになっている。サイモン(シックボーイ)の部屋には山のようにDVDが積まれていて時代の移り変わりを感じます。前作の原作の中で、薬が効いている間はジャン=クロード・バンダムのような映画を見るのがちょうどいいとあり、レンタルビデオが原因で友人の一人がやけを起こしてHIVに感染して亡くなったエピソードがありました。今は今なりの未来への恐れを持っているものの、あれからなんとかやってきたのだからこれからもなんとかなるだろうという経験からくる楽観もある。だから、ストーリーがあまりにも悲惨だったりあまりにも夢だったりするとシラけるので難しいですが、ちょうど良かったです。ひとつ言えば、20年近く刑務所にいるベグビー(フランク)のことを妻子は待っていないんじゃないだろうか、本当だったら。ドライすぎる?シャバに出てきたベグビーも20年で大きく変わった世の中についていけていないわけでもないですが、未だに大型テレビをパクろうとしているのがもの悲しいです。

今回スパッドが活躍しますが、ユエン・ブレムナー さん、間もいいし、しれっとおもしろい演技をする好きなタイプの俳優さんです。舞台版のトレスポではこの方が主人公のレントンを演じられていたそうです。もちろん、ジョニーもロバート・カーライルさんも好き。ユアン・マクレガーはビッグネームですが『ナニー・マクフィー』ではリスさんの弟役でほんのちょっとだけのカメオ出演ですがやっぱり二枚目だなと思いました。ユアンもジョニーも、いいお年ですがやってくれてます。監視カメラの映像を使った見せ方もどこにでもカメラのある現代だなと、おもしろかった!まあ、監視カメラといえばリスさんの99年の『HEART』にもバッチリ映っているっていうエピソードがありました。

家を出て自立しろというのが20世紀で、それから社会もだんだん高齢化しそれじゃあやっていけないってなっているのが現代。洋画では親の家に住んでいるのがカッコ悪いことと描かれますが、時代の都合でそれ変更、となるのでなんだかなと思う。

本作、納得のエンディングでした。彼らはなにも成功しないですが、なんだか痛快で清々しかったです。

Brazil



Gontiti/Brazil

気持ちのいい天気の休日にぴったりの曲です。
ブラジル」とは現実逃避して行きたくなる国だそうです。
映画『未来世紀ブラジル』版より馴染んでいるせいか、このアレンジが好きです。

『未来世紀ブラジル』がイギリスものというつながりです。

Tshirts collection 2017

あたたかくなってきたので新しいTシャツが欲しいです。当ブログのリコメンド商品です。


シャツをはおって着ることをおすすめします。また、外出先で不慮の事故等に巻き込まれないよう細心の注意を払っていただきたいです。

Do you feel a happy butterfly effect?

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お花見もはじまりましたが、バタフライエフェクトという言葉をご存知でしょうか?

以前にも映画『Mr. NOBODY』の中でご紹介しましたが、蝶の羽ばたきほどの微かな微かな振動が地球の裏側に嵐をもたらすこともあるという物理学の理論です。実際のところ因果関係の立証が難しいので、風が吹けば桶屋がもうかるくらいの距離感です。

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Mayumi Shinoda 'Lady Victoria vol.3 : The adventure of the Japanese village in London'
A brand new mystery novel about an eccentric detective Lady Victoria in 19th century.
The Author is an enthusiastic Sherlock Holmes's fan.
She wrote many words from Conan Doyle's works and also Nottinghill in this book. Is this a butterfly effect from Rhys's movie?
She sometimes posted her comments to this blog. Thank you!

そんな前置きからはじまる『レディ・ヴィクトリア』3冊目(ネタバレなしです)。いつも篠田先生のブログで執筆中継を拝読していることで物語もより楽しませていただいております。ホームズ・ワードも時々登場し、何気ない地名にも勝手にくすっとします(これはただの私の主観)。映画もですが製作者の遊び心を見つけられると楽しくなります。にまにましながら読みましょう。

ヴィクトリア朝のロンドンに住む風変わりなレディ・ヴィクトリア探偵役、今回は当時のジャボニズム ブームに乗ったテーマパーク日本人村を舞台に事件が起こります。明治維新を経て先進国大英帝国に渡った日本人が登場し、その時代をもっと知りたくなりました。先生があとがきにも書かれている1880年代に作られたコミックオペラ『ミカド』は今も人気があるとか。その登場人物からとったのかなあというトプシーとターベイというコンビ名が、2010年頃の映画『ナニー・マクフィー 空飛ぶ子豚』にも出てきました。そんなこんなで、いろいろ知ると深く楽しめます。作中に出てきた「宮さま」のシーンがちょうどYouTubeにあったのでリンクしておきます。全編みられますが2時間以上かかるのでやめておきます。白人が着物を着て演じているというのがやっぱり奇妙ですが、日本人もカツラをつけて舞台をするので、それも奇妙なのは奇妙です。

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She wrote about the comic opera described the Japanese emperor " The Mikado" which is rarely known in Japan.Topsey and Turvy are the roles of this.

実は最近SNSでもバタフライエフェクトが起き、海外のファンの方と言葉もわからないなりにつながれた気がして嬉しかったです。前回取り上げた『リトルニッキー』は10数年前の古い映画で、中で取り上げた曲『Home sweet home』なんて30年前(リアタイでは聞いていないですが)で、次から次に新しいものが出てくる中でそんな古いものを取り上げて何の意味があるのだろうとよく思います。
でもこの映画は海外ファンにはけっこう人気があるみたいです。リスさんがキレイなサタンを演じているからかな。そしてこのイラストはやりすぎた気がします。他にも何点か紹介してくださっています。

思えばシャーロックでも、ネッ友の方々に出会いました。その中でもハッピーなバタフライエフェクトをたくさんいただいています。ROMだけの方もいらっしゃいますが、いつも楽しませていただいております。人は全くの偶然からいろいろなものに出会い影響を受ける、バタフライエフェクトの連続かもしれません。春の陽射しはハッピーなバタフライエフェクトの気分になります。

Thank you for giving me many butterfly effects of SHERLOCK fans and Rhys's fans!

Mycroft Holmess

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This is also today's game.

April Fool

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Today is April Fool!
I'm joining the game of 'SHERLOCK' fan friends.


Rhys Filmarathon 『リトル・ニッキー』悪魔が憐れむマイノリティの歌 Brothers and rock

『リトル・ニッキー』原題 Little Nicky (2001)

今回リスさんは悪魔の役、少し意地悪そうな感じが似合います。
この映画のことは知っていましたが、リスさんが出ていると知りませんでした。

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変な顔に描いたら地獄の業火で焼いてやる、と言われそう。
いつもより多めに燃やしています。

‘Draw me ugly or burn you.’


Thank you for Russian fans group of Rhys Ifans!



Take me to your heart, feel me in your bones,
Just one more night and I'm coming off this long and winding road
I'm on my way
I'm on my way
Home sweet home
-Mötley Crüe / Home Sweet Home-

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"Little Nicky" and "Spider Panic"


これもネットでちょこちょこ見ていて、
魔王の三男ニッキー(アダム・サンドラー)が人間界に家出したので、お兄ちゃんのエイドリアン(リス・エヴァンス)が連れ戻しに来て、ニッキーが好きな女の子といるときに念力で邪魔をしたり、最初は人間の食べ物も知らなくてチョコバーとか食べていたのに酒を飲んだり人間界に染まって堕落する(悪魔なのに)ようなラブコメかと思っていました。

実際のストーリーは?ネタバレには一応配慮します。
魔王(ハーヴェイ・カイテル)には息子が三人います。

・長男エイドリアン(リス・エヴァンス)=冷酷、悪がしこい、化粧をしている
・次男カシアス(元プロボクサーの方が演じている)=乱暴、サディスト、魔王になった時の野望は24時間拷問
・三男ニッキー(アダム・サンドラー)=気弱、自信なし、野心なし。兄たちにいじめられている、カシアスにシャベルで殴られて顔が斜めになっている、ヘヴィメタ好き 父親のお気に入り

なかなか後継になれない長男と次男が人間界に家出したことから、地獄の門が凍りつき人間の魂が入ってこれなくなって魔王の体は溶け始めます。二人を同時に連れ戻さないと魔王を助けることができません。そこで三男ニッキーが、中に閉じ込めることができる瓶を渡され、連れ帰るため人間界に送り出されます。人間界で色々助けてくれるのが言葉をしゃべれるブルドッグ。ニッキーが出会う、ちょっとダサい女の子ヴァレリーがこの映画の後『Human Nature』でリスさんと共演のパトリシア・アークエットさん。彼女はタランティーノ脚本の『トゥルー・ロマンス』で戦う女性を体当たりで演じブレイクしました。ニッキーは彼女に自分がどうして人間界に来たかを話すのですが、「My father is sick and in hell」(正確ではないですが)「僕のお父さんは病気で地獄にいる」という意味で言っていますが「病気で最悪の状態だ」というように聞こえ、「deep south」(地球の深いところ)から来たというのも南部出身みたいに取られてあまり悪魔というのを本気にされません。最後は長男エイドリアンとニッキーの対決になります。魔王になったエイドリアンがNYのセントラルパークで人間の大群衆を前にパフォーマンスをするのですが、リスさんはまるでロックのライブのようだったと言っていましたが、舞台やバンド経験もある方なので、さすがでした。

アダム・サンドラーさんはコメディ俳優かと思っていたら、TV番組「サタデー・ナイト・ライブ」で活躍のコメディも作る音楽もやるというマルチな方で、「サタデー・ナイト・ライブ」関係者が集結している映画でした。ストーリーは、小ネタが多くオチはすごくおもしろかったですが、その前にもう一山欲しかった気もしましたが、90分と短めなので繰り返し見るのにちょうどいいし、見ているうちに気にならなくなりました。何が何でも120分なくていいし、180分なんか耐えられません・・。映像で一瞬で説明するのがとても上手。悪魔たちはとにかく寒がりで、人間の中に入っていても誰かわかるようになっています。コメディながらCGを多用していて、スペクタクルな映画よりも、はるかに想像力や意外性のある映像表現でおもしろかったです。そしてタランティーノも結構いっぱい登場する。魔王の父(ニッキーたちのおじいちゃん)が出てきますが、その父、その祖父とかゾロゾ出てきたらおおもしろいかも(中島らもさんの作品にそんなのがあった)。そして3兄弟は母親が違うようですが、もっと兄弟が見つかりそうな気もする。

「中に閉じ込めることのできる瓶」は『西遊記』に出てくる名前を呼ばれて返事をすると中に吸い込まれるのひょうたん(悪者の金角・銀角が閉じ込められた)のようだし、変身したエイドリアンも日本の鬼っぽいメイクで東洋好きなのかなと思いました。

特典と解説が本編より長いくらい入っていて、楽しんで作っていることが本当によく伝わりました。ラブコメに走らなかったのは、『リトル・ニッキー』がマイノリティの物語だから。前髪に隠れているシャイな男の子ニッキー、ヘヴィメタ好きのニッキーの信者、ゲイ(本人は否定している)の売れない俳優、自信のないデザイン学生の女の子、衣装倒錯の人。美女のパトリシアさん演ずるちょっとダサいデザイン学生のヴァレリーに「私は美人じゃないから人のために美しいものを作るの」と言わせていますが、なかなかにすごいセリフ。コメンタリーではオジーさんはじめメタル界のレジェンド達が熱く語っていました。10代の頃ヘヴィメタが好きだった男子がターゲットで、大人なってもヘヴィメタへの愛を変わらず持ち続けているが、女性の場合はなんであんなの聞いていたんだろうと黒歴史になるらしい(笑)。まあそういう時代だったてことで。

悪魔が人間界に家出して信者を得て新しい世界を作ろうとするのは、『神様メール』と似ているなと思いました。こちらは神様の娘が家出し、使徒を集めて父親の治める世界とは違う新しい世界を作ろうとする話です。地獄とメタルといえば宮藤官九郎の『Too young to die 若くして死ぬ』もあり、見ていませんがインスパイアものかどうか気になります。

三人息子がいて末っ子が抜けているけど性格がいいのは昔話や寓話によくあります。年齢差があるから末っ子が間抜けに見えるのも当然で、お兄ちゃん目線では本当にいつまでもダメ弟なんだろう。リスさんは、セリフのないところでも表情でエイドリアンのキャラを説明していて、どうやら冷酷なくせに自分で暴力を振るうのはそれほど好きじゃなくて実は少しナイーブとか、父と末っ子がヘヴィメタで盛り上がっているところを後ろから「二人で仲良くしてなんなんだよ」と見ていて、悪魔のくせにどことなくかわいらしい。衣装デザインの方が、エイドリアンはキザで繊細といっていました。イギリス人のリスさんのすごく芝居がかった演技が似合うし、外見もロックミュージシャンのようでした。オジー・オズボーンのカメオ出演など、直球ではないけれど、これも音楽映画です。

ラジー賞にいっぱいノミネートされていましたが、なんでしょう、見ても見なくてもいいけど気楽に楽しめる映画です。音楽映画好きなので血が騒ぎます。


あなたの名前でメタリカ風ロゴが作れる http://metallica.alwaysdata.net/
エイドリアンでやってみました。(一般的な名前ってことで)
a_logo.png


AC/DC - Highway to hell
こんな世界観。鬼(じゃなくて悪魔か)角がかわいい。
映画のセントラルパークのーシーンはこんな感じ。


Ozzy Osbourne - Bark at the moon 
「月に吠える」朔太郎じゃないけどこんな邦題、狼男になるストーリー仕立てのMVです。


Mötley Crüe - Home Sweet Home
スィートなハード・ロック・バラードです。
Nicky said Mötley Crüe said a sweet home was in each mind.
このバンドのベーシストもニッキー(Nikki Sixx)。
モトリー・クルーはメタルじゃなくて男性にも女性にも人気だったし、
イメージ戦略かMVに出てくるオーディエンスに女の子がたくさんいてみんな美人。


GUNS N' ROSES - Sympathy for the devil
タイトルは『悪魔を憐れむ歌』より。
映画には関係ありませんが、悪魔にシンパシーを感じるってことで。
ストーンズのオリジナルバージョンにしようかと思いましたがMVがないので
GN'R virは映画『Interview with Vampire』のサントラだったので映画シーンが挿まれて楽しいです。
Original song /The Rolling Stones




ついでに
◾︎『スパイダー・パニック』
アリゾナの砂漠の近くの片田舎の町が巨大化した蜘蛛に襲われるB級パニックムービーです。
『リトル・ニッキー』のヒロイン、パトリシア・アークエットさんの兄弟デイヴィッド・アークエットが主演していて、『リトル・ニッキー』に出てきた蜘蛛と繋がりがあるのかと思って見ましたがあまり関係ないようです。『宇宙人ポール』的なものに王道ラブロマンスを絡めたような話で、『エイリアン』、『コークーン』などのオマージュがありました。蜘蛛がそんなにちゃちくなくてエンタメとしてそれなりにおもしろかったです。10代のスカ・ヨハが出ていました。



◾︎『Sing Street』
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昨年夏公開された『Sing Street』も3きょうだいと音楽の話です。
1980年代のアイルランドが舞台、超不況の真っ只中、離婚寸前の両親を持つ15歳のコナーは経済的理由から学費の安い高校に転校させられる。新しい高校では先生や同級生にいじめられるけど、モデル志望の女の子と親しくなりたくてバンドを組みミュージックビデオを撮る話です。デュランデュランの『Rio』がお手本です。ちなみに学校は男子校で彼女は学生ではありません。登場人物の中では楽器が何種類も演奏できるマルチプレイヤーのエイモン君とコナーのお兄ちゃんが好きです。

コナーには兄と姉がいて、兄はロックのことをいろいろ教えてくれますが、大学は休学中、マリファナで気を紛らわせている感じです。ドイツへ行きたかったが両親に反対されて諦めた過去があります。弟のことはすごくかわいがっているのですが、長男には「お前なんか」っていう思いがあり、ちょっと変わり者の両親との生活を「密林の中をたった一人で切り開いて築いてきた。お前は俺の通った道を歩けばいいだけなんだから。何をやっても可愛がられる」。『リトル・ニッキー』のわりと優等生の長男エイドリアンと野心のない末っ子ニッキーの関係も似ています。この悪魔兄弟何歳離れているんだろう、1000歳とか?

かくいう自分も三人きょうだいの末っ子で、そういう感じはわかります。
自分の場合は、歳が離れているので、もう一回切り開き直さないといけなかったですが‥。兄の影響は意外とあるなと思い返しました。一緒に過ごした時間は短いので、それほどがっつり話したりしたことはないながらも。『パイレーツ・ロック』のサントラCDのダスティ・スプリングフィールド『You don’t have to say you love me』Prcol Harum『A whiter shade of pale』はすごく昔に聞いた記憶があります。多分自分が3、4歳の頃、当時兄は映画好きで古い曲も聴いていたようでした。どちらもものすごく有名な曲なので、違うところで聞いたのかもしれませんが、FMから流れるたびなんか知っていると思っていました。そして上のきょうだいというのは、自分が大人になっても相変わらずずっと先を走っています。

離婚寸前で彼氏のいる母親と父親を初ギグに呼んで仲のいい二人に戻って欲しいとコナーは思っていて『バック・トゥ・ザ・フューチャー1』の主人公マーティの両親に重ねています。気の弱い父親は高校時代のいじめっ子に大人になってもアゴで使われていてパッとしない。これも何回も見た映画ですが、今見ると両親が否定されていることが少し辛い。10代の子どもなんてそんなもんだけど、ままならないこともたくさんあるんだって、と思います。バンドの要のいろいろな楽器が演奏でき作曲もできるエイモン君は、『スタンド・バイ・ミー』のメガネの子、コリー・フェルドマンを連想する顔立ちですが、映画そのものが少年の冒険を描いた『スタンド・バイ・ミー』オマージュのようで、どちらも80年代の名作少年映画です。

周りに遠慮しているコナーのお兄ちゃんが好きなので、周りを気にしすぎるなと言ってあげたい。エンディングでは家で腐っていた彼にも変化が起きたようで、進みだしそうな予感がしました。

A-ha - Take on me
コナーが女の子に「バンドやってるなら歌ってみて」と歌わされた曲。
MVとしてはデュランよりこっちが断然おもしろい80年代の名作です。


Duran Duran - Rio


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なんだか今回とても80・90年代な話題でした。

Intermission/ Peter Pan movies

前の記事でピーター・パンを踏まえて書いたのでピーター・パン映画の見比べです。

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リス・エヴァンス主演の『ネバーランド』を見て(これはまた今度書きます)、そういえばディズニーのピーター・パンそのものを見たことがなかったので合わせて他の作品を見ることにします。ファンタジー音痴で、探偵小説の好きな子どもで、絵本でくらいしか『ピーター・パン』のことは知りませんでした。「ネヴァーランド」っていえばマイケル・ジャクソンの自分だけの夢の国だったのでイメージが今ひとつよくないし、ピーター・パン症候群とかね・・・。
映画はたくさん作られています、作る側からしたら映像表現は作りがいがありそうなのはよくわかります。
ネタバレを気にせず書きますのでご了承ください。

ロビン・ウィリアムズ主演『Hook』(1991)
ディズニーアニメ『ピーター・パン2 ネヴァーランドの秘密』(2003)
ジョニー・デップ主演『ネヴァーランド』(2004)
ジョー・ライト監督『PAN』(2015)
『ピーター・パン』(2003)

■『フック』(Hook)1991
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Director: Steven Spielberg
Writers: J.M. Barrie (books), J.M. Barrie (play)
Stars: Dustin Hoffman, Robin Williams, Julia Roberts

かつてのピーター・パンが大人になって家族を顧みない仕事人間の中年になっている話。ウェンディ(マギー・スミス)は慈善活動家で孤児の世話をしており、ピーター(ロビン・ウィリアムズ)はアメリカ人の養子となり、ウェンディの孫のモイラと結婚、一男一女がいる。男の子の野球の試合を見に行く約束をすっぽかし、少し家族関係がギクシャクしていたところ、ウェンディの名前の付いた記念病院がロンドンに新しくオープンするので、家族でイギリスへ行くのですが、子どもたちはネヴァーランドへさらわれ、太っちょのおっさんピーターが子どもを取り返す話です。初めは飛び方も剣の使い方も忘れてしまっているので失敗、金でかたをつけようとしたりのズレっぷりがおかしいのですが、ティンカーベルのとりなしで3日の猶予をもらいピーターはロストボーイズと一緒に鍛え直す。

フック船長(ダスティン・ホフマン)はピーターの事を忘れたことがなかったのに、ピーターはすっかり忘れていたのがあわれ。フックはさらったピーターの息子を自分の子どもとしてかわいがろうと決め、父親役をピーターから奪おうとする。自分と同じ赤い上着と黒い帽子と黒いカールの長髪のカツラをつけさせる。ネヴァーランドにとどまる決心がついたら耳飾り(ピアス)をつけろという。海賊になる儀式のようなもので一つ目のピアスは重要だと説明。

リスさん演じる『ネバーランド』でも、ジミー・フックが海賊として生きる決意をし海賊の衣装をつけピアスを空けるシーンがあります。それだけ見ても何か決意したとわかりますが、『フック』で明確になりました。(ピアスはお若い時から開いていました。)

フック船長の後ろの手すりに、フックの顔のような飾りがついていて一つだけ王冠になっていますが、原作『ピーター・パンとウェンディ』の中にフックはもともと貴族でしかも王室の血を引くことが匂わされていることからではないかと思います。原作では手下にスミーという老人とジェントルマン・スターキーという元教師のふたりが出てきますが、『フック』でもディズニー版でもスミーにまとめられています。『ピーター・パンとウェンディ』の中では、ピーターは生後数日で母親の元から逃げ出したのでキスを知らないのですが、『フック』の中ではモイラに恋をしてキスをし成長が始まったことになっています。

ロビン・ウィリアムズが出ているので「グッドモーニング・ネヴァーランド!」とロストボーイズのリーダーの子が言っていました。


■ディズニーアニメ『ピーター・パン2 ネヴァーランドの秘密』(2003)
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なぜ2を借りてしまったのだろう・・・それはお店のリコメンドだったからです。
ウェンディがお母さんになっていて、お父さんが戦争に行くところから始まります。戦争時代なので子どもたちは夢が見られないという設定。小学生くらいのお姉さんと幼児の弟、弟は母から聞くピーター・パンの話が大好き。突然子どもの疎開が決まりました。姉はピーターなどは信じないとケンカ、その夜フック船長にネヴァーランドへさらわれます。ロストボーイズに新しいお母さんだと思われます。「信念」と「信頼」を取り戻し飛べるようになり、フック船長をやっつけ家に帰れるという話でした。


■『ネヴァーランド』Finding Neverland (2004)
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Director: Marc Forster
Writers: Allan Knee (play), David Magee (screenplay)
Stars: Johnny Depp, Kate Winslet, Julie Christie

ジョニー・デップ主演で、劇作家のバリーが公園で知り合ったデイビーズ家の子どもたちとの交流から生まれた『ピーター・パン』が完成するまでの物語です。子どもがすごくかわいい。友人のコナン・ドイル先生も少しだけ登場しました。『ピーター・パンとウェンディ』(新潮文庫)のあとがきによれば、映画と違いデイビーズ家の主人はバリーが知り合った後に亡くなっているそうです。お揃いの服を着た4兄弟がかわいいのと、男の子が4人もいると繕い物に追われるというお母さんのセリフが印象的でした。デイビーズ家は主人がなくなり裕福ではないのでメイドもおらず、さぞや大変だろう。バリーさんはなんとか援助したいと思って行動するのですが社会的には既婚男性がよその家族と親しすぎると白い目で見られ、純粋な善意の行動が社会的規範からの逸脱とみられ、大人社会の面倒くささが描かれています。

■『PAN』(PAN)2015
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Director: Joe Wright
Writers: Jason Fuchs, J.M. Barrie (characters)
Stars: Levi Miller, Hugh Jackman, Garrett Hedlund

一番最近の映画です。監督は『つぐない』のジョー・ライトさん、デザイナー出身で彼の美術が好きなので、以前から見たいと思っていました。色彩豊かで、実際にネヴァーランドのセットを組んで撮影したそうですが、巨大でアミューズメントパーク並みでした。
ストーリーはかなり自由で、黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)という敵役を立てて、救世主のピーターとフック船長になる前のジェームズ・フックが協力して戦うというものでした。ピーターは赤ん坊の時に身を守るため母によって人間界に捨て子として送られます。第二次大戦中の孤児院で育ち、ピーターはある夜他の子どもたちとともにネヴァーランドへさらわれます。黒ひげは多くの奴隷に不老不死の力を持つ妖精の粉の結晶を鉱山で探させています。その奴隷の一人がフックで、イメージはインディ・ジョーンズみたいですが、逃げ出した後ピーターとタイガー・リリーとともにネヴァーランドを守るために海賊と戦います。

プロローグのロンドンの街並みの屋根は、リスさんの『ネバーランド』を思い出しますが、こちらのピーター君は高いところが嫌い。不老不死の妖精の粉も『ネバーランド』と同様。戦争中設定なのはディズニーアニメと同様。ピーターは妖精の王子と人間の女性との子どもで救世主であるため母にネックレスをつけて捨てられたのですが3日間で飛べるようになって本物であると証明するようにいわれます。高貴な身の上、捨て子、特別な力と運命など物語の英雄の条件が揃っていますネ。アメリカのファンタジードラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』の主人公エマも人間界に捨て子として避難させられていました。(ロバート・カーライルさん目当てでS1しか見ていません。)「3日間で飛べるようになる」という条件はロビン・ウィリアムズの『Hook』にも出てきます。また恐ろしい人魚が登場するのですが、後述の『ピーター・パン』の中にも登場します。水に引きずり込むという伝説上のセイレーンのイメージでもあります。細かいところはいろんなものがミックスされていますが、かなりオリジナルなピーター・パンでした。

またタイガー・リリーたちは、ネイティブ・アメリカンとして描かれることが多いのですが、ジョー・ライトさんは原作で「先住民族」となっているので世界各地の民族をミックスしたと話されていました。アンデスなど南米の民族や中国奥地の民族などとてもカラフルな衣装を着ていますが、他にもオーストラリアや各地のイメージが入っているそうです。演じているのは全員白人でした。ロマンスの部分はフックとタイガー・リリー担当でピーターはあくまでも子どもということでした。

■『ピーター・パン』(Peter Pan)2003
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Director: P.J. Hogan
Writers: J.M. Barrie (play), P.J. Hogan (screenplay)
Stars: Jeremy Sumpter, Jason Isaacs, Olivia Williams

こちらはかなり原作の『ピーター・パンとウェンディ』に忠実。みんなの持つイメージ通りの配役ではないでしょうか。ウェンディたちの父親のダーリング氏(銀行員)とフック船長を二役で同じ俳優が演じているところに興味を惹かれました。いろいろ見てきましたが、「フックと大人」も重要なテーマです。ダーリング氏は奥さんによると、「家族のために夢を引き出しにしまってガマンしているが夢は引き出しの中で膨らむ一方」とのことです。

ピーター・パンといえば男の子の話というイメージが強いのですが、原作から女の子のウェンディが重要な役です。この映画の中ではウェンディは12歳で、より具体的に侯爵夫人の伯母に「そろそろ私のところでレディ教育と花嫁修業してはどうか」と迫られ、ピーターと一緒に弟たちを連れて逃げ出します。このウェンディの夢は小説家で女海賊などの冒険ものを書くことですがシンデレラや白雪姫などのプリンセスのロマンスも大好きです。

フック船長役の人はお父さんの時はおさえ目ですが、フックの時はコミカルでとても色気のある方でした。ウェンディは娘だけどフックにドキドキしそう。フックは顔を近づけてしゃべったり凄むイメージがありますが、意外とこの人以外はやっていませんでした。未公開シーンでしたが、お父さんが子どもたちが家出した罰として犬小屋で過ごすというのを実際に撮影していたのに笑いました。ピーターがフックをやっつけて自分が海賊の船長に成り替わるというのも原作と同じでしたが、そのあとは原作とは違う結末でした。

リスさん主演の『ネバーランド』でも「二つ目を右に朝までまっすぐ」をやっぱり宇宙を飛ぶシーンとして描いていました。


■リスさん映画との関連
他の作品と比べてみるとリスさん主演の『ネバーランド』はかなりシリアスで大人向けでした。

前にも書きましたが、ディズニーアニメ『ピーター・パン2 ネヴァーランドの秘密』はリスさん映画『ナニー・マクフィ 空飛ぶ子豚』がすごく影響されている!ディズニー版のエンディングがアニメとは違う絵本のようなシンプルな可愛らしいイラストですが、『ナニー・マクフィ』も似たタッチのアニメーションですごくかわいい。これも戦争にお父さんが行って不在、都会の子どもが疎開してくる、という話でした。女の子が活躍するのも同じです。つば広帽みたいなヘルメットをかぶっていたのも、『ナニー・マクフィ』で末っ子のヴィンセントが同じような探検家のヘルメットをずっとかぶっていたのと似ているなと思いました。リスさん演じる愉快なフィルおじさんは子どもより子どもっぽい大人だなと同じ系譜に入れていましたが、フック船長か、なるほど。

『フック』の中で海賊の帽子の飾りは孔雀の羽と出てくるのですが、『パイレーツ・ロック』の中でリスさん演じるギャヴィンがかぶっていた帽子にもついています。グラムロックな感じかと思っていたのですが、そこは海賊イメージなのですね。
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伯爵とギャヴィンのチキンレースの様子もディズニー版の中にそれらしいことが出てきます。『パイレーツ・ロック』はファンタジーではないので心意気がどうであろうと見事にケガをします。その後の伯爵の栄光の日々のピークは過ぎ去り「船を降りる潮時問題」は、いつまでもロストボーイズではありえないことが、ピーター・パンとして読むことでより明確になります。『パイレーツ・ロック』は本編にはないのですが、ポスターでは船の縁から板の上を歩かせるビジュアルがあります。この映画もまた『ネヴァーランド』だったのだなと思いました。

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リスさん、純真という感じはないのに(ごめんなさい、悪魔の役とかやってるし)、意外にピーター・パン・イメージがあったのだなと思う。しかも『パイレーツ・ロック』『ナニー・マクフィ』あたりまで(この時40過ぎ)。別の言い方をすると、ええと、「お手本にならない」みたいな?だから楽しいのだと思います。

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ついでに、『ピーター・パン』の中の女の子像について
『ピーター・パンとウェンディ』では女の子が活躍する。弟は全く重要ではない。最後の方ではウェンディは結婚して自分の子どもたちにピーターの話を伝える。男の子が好きな女の子に母を仮託する話?女の子の方が成長が早いが夢を忘れない、のだろうか?まとまらないけど、少し今までとイメージが変わりました。


ついでにこれも。
『僕が星になる前に』 The third star
二つ目を右に朝までまっすぐ
でも三番目の星と間違えたロストボーイズのお話です。

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監督、脚本、キャスト、制作年の情報はIMDbより転載。
画像はIMdb,Amazonより


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